「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」
この本は、オードリーさんの考え方を学ぶのにとてもいい本だと思う
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例えば「都市を設計するならどういう基準を考えるか?」という問いかけに、自分ならどう答えるだろうか?
著者は「軽度の認知症の人に優しい街が最もいいのではないか?」という
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この発想は多くのことを含んでいる
まず軽度の認知症の人が出歩けられて社会参加できると、中度・重度の症状に進みにくいので、本人も家族も国としても嬉しい
当然それは、子供や老人も含めた他の人にとっても出かけやすい街になるのだと思う
個人的な経験だが、障害者のための介護用品見本市に行ったときに、この地域にこんなに障害者の人がいるのかというくらいに集まっていて、びっくりしたことがある
普段は出かけられないんだなと
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ここからは想像の話だが、著者の目線で街を作るなら、案内が簡潔であるとか、街の構造がわかりやすいなど、誰にとっても過ごしやすい環境であるはず
そしてハード面だけじゃなくて、おそらくその場にいる人たちの助け合いや協力がソフト面のパワーとして期待できるんじゃないかと
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なぜなら、台湾の教育方針は、自発的、相互理解、共同作業という3つが真ん中にあるから
そういう国だからこそ、オードリーさんを若くして大臣に迎える自由度の高さが行政レベルにもあり、またその中だからこそオードリーさんは活躍しやすいのだろうと思う
逆に言うとオードリーさんは今の日本では生まれないし、活躍できないだろうとも思う
また、残念だけど日本では都市設計に関して、その場にいる人の協力を期待するというのも難しいだろうなぁ・・・
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冒頭の質問に戻ると、もしかしたらこの「軽度の認知症の人に優しい街」というのは、オードリーさん自身が出したアイデアではないかもしれない
都市計画のような多くの人の利害が関係することについて、さまざま価値観を持つ人たちを集めて、話し合いを通じて共通の価値観をそこに見つけ、その価値観を実現していく方法もまたみなで話し合うなかで見つけていく、そのお手伝いをするのがオードリーさんの一番の仕事だから
個人的に最初の質問に答えるなら「ミスを許す街」がいいなと思う
<完>