「人生の旅をゆく」吉本ばななさん著。
ばななさんのエッセイはうまい。その世界観の受け止め方はそれぞれだと思うけど、2〜3ページのエッセイで、その世界にトリップさせる技術はなんなんだろう。
個人的にはその、この世とあの世があわいで繋がっているような世界観にも共感している。そこら辺が合わない人でも、ちゃんと人と人が向き合うことができたときの幸せを信じられるかどうか、というのが共感の分かれ目なのかもしれない。
ばななさんのメッセージって、突き詰めると「その場その時に真剣に生き切ること」に集約されるんじゃないかと。
その実践がばななさんの人生であり、そうやって生きている人には、同じように生き切っている人たちが関わってくる。その姿がとてもうらやましい。それを切り取った本がこれ。
話はずれるけど、小説のばななさんの話では、いつも「生き方にはもっと選択肢がある」と教えてもらっている気がする。それを選んでもいいし、選ばなくてもいい。ただ、知らないうちに少しずつ、その生き方が入ってきているかもしれない。
さらに話がずれると、村上春樹さんの小説を読むと、泳ぎ方の矯正をされるように、感覚的に生き方を整えられる気がする。この距離感の違いも面白い。
* * * *
自分の人生の指針となる人が同時代に生きて考えて、それをリアルタイムで追っていけることは幸せだと思う。