ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 虫は人の鏡

「虫は人の鏡」養老孟司さん著

さまざまな虫の写真と、虫の生態にまつわる話

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虫の「擬態」は日本ではあまりなくて、オーストラリアには分かりやすくあると初めて知った

オーストラリアの自然は場所にもよるが、樹木はユーカリとアカシア、そして年間降雨量50mmみたいな気候があって、そこでは自然は限りなく単調になる

単調なところでは「擬態」が生きてくる

 

これはどういうことかと考えてみて、自分の経験に置き換えてみる

例えば、都市で人があまりいない場所なら目が悪い人でもなんとか歩けるのは、環境が「単調」で、自然ほどは視力を要求されないから

しかし、日本では自然の中に一歩足を踏み入れると、上下左右全てに気を配って歩かないといけない

たとえ虫が近くにいても、擬態しなくてもほとんど見つけられない

虫は人の鏡 擬態の解剖学

虫は人の鏡 擬態の解剖学

  • 作者:養老 孟司
  • 発売日: 2020/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 このことを逆転して考えると、都市では環境が単調だから人間は何かに「擬態」しないと生きていけないんだろう

自然に近い場所にいくと、気分がよくなるとか伸び伸びできるとかは、きっと「擬態」をしなくていいって心と体が分かるんじゃないだろうか

 

本 人新世の「資本論」

「人新世の『資本論』」斎藤幸平さん著

 

マルクスの「資本論」を読んだことなかったのだけど、「資本主義」が何なのか少しわかった
漠然と思ってたけど、基本的に人間がその自身の力を使うこと以外はすべて、地球の内蔵資源を使うことに他ならないのだと


いきなり横道にそれるけど、生産性が「高い・低い」は、無駄な会議や残業という面もあるけれど、生産する際に地球資源に依存する量が「高い・低い」の言い換えでもある
そう考えると、環境負荷の小さい(生産性の低い)日本の生産のあり方はこれからの世界でまんざらでもないかもしれない

 

話を戻して、今は「資本主義」が世界を包み込んでいるように見えるが、実は資本主義には外側には『自然環境』があって、その自然環境の許す範囲でしか動けない、つまりは資本主義は『自然環境』に「あらかじめ限界を告げられた存在」だったんだと

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

 

 想像してみればいいけど、何もない宇宙空間のみでは「資本主義」は何もできない

「資本主義」は先に環境資源があることが前提で、それに対して「希少性」を作りだすことで価値を作り出す
・・・この「希少性を人工的に作り出すのが資本主義である」という見方を著者から学んだが、すごく使える視点だと思う

 

例えば今は空気は無料だが、わざと空気を地球規模で汚して「綺麗な空気」という希少性を作り出して価値を作り出して売るというのは、
「資本主義」からしたらものすごく魅力的なアイデアになる


その先遣隊ではないかと思える水道の民営化は、単にコストが理由ではなくて、誰でもアクセス可能な資源である水に希少性を作り出す(飲めなくなる人が出る)ことなんだと

そこに人間を大事にする視点はない、しかし「資本主義」というのは本来そういうものであるんだと

 

・・・ここは個人的な謎なんだけど、「資本主義」って人間に最初からインストールされている、「本能」みたいなものなのだろうか?
人類の99.9999%ぐらいの人は空気が販売される世界なんて望んでないと思うけど、「資本主義」に個人個人でいうなら勝てない
・・・人新世と呼ばれるぐらい一つの「種」が地球レベルでパワーを持つことをDNAは予測できなくて、生存競争の中で「資本主義」を”本能”としてインストールしたんだろうか?

 

閑話休題

 

で、「資本主義」はもう自然環境の制限に到達しちゃったから、「違う道」を探す他ないと
じゃあどんな道があるんだろう?と考えた時に、「資本主義」を徹底的に考えたマルクスの、晩年の研究の中にその答えがあったというのが筆者の主張

それが脱成長社会であり、市民営化で生産する「コモン」である・・・詳細は本で


その”コモン”を可能にするには、人口の3.5%の人が、その新しい生き方を実践することだと

喜んでその3.5%の一人になります

DIY 万力ハンガー・フック

DIY 万力ハンガー・フック

これ便利です

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ハンガーの写真

 

写真のはだいたい55mmなので、50mmので代用できると思います 

メーカーを選ぶポイントがあるとすれば、万力の抑えの台になってるところが「平らなもの」にすることです

このグレーのが上の写真で使われてるやつです

SUN UP アルミクランプ 50mm

SUN UP アルミクランプ 50mm

  • メディア: Tools & Hardware
 

 

比較して、下のは台がギザギザになってるので、傷つけていけない壁や柱には不向きです

傷がついてもいいやつなら滑らないからいいんですが

スーパー シャコ万力(バーコ型)50mm BC50E
 

 

 今日思いついたのでアイデア・シェア!

 

 

英語の編み方パターンを編み図に変換するサイト

編み方パターンを編み図に変換するサイトのお知らせです

 

海外の編み物に興味あるけれど、編み図がなくて挫折した人向けです

Row2 :(k1,p2,k2tog)3 times みたいなのを自動で編み図にしてくれます

 

こんな感じ


knitton / 編み図変換サイト / knitting pattern into a symbol chart

 

網図変換サイトのリンク

https://molingit.com/knitton/

どうぞご贔屓に

本 満洲暴走

満洲暴走」安冨歩さん著

 

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満洲国が不思議な存在であることがよくわかる

中国の他の地域と違って中央集権的な経済であり、また清朝の発祥の地として開墾されずにきたため地力が豊かだった

そして当時の世界の戦争の仕方が "戦地のみの戦い" から ”総国力戦” (total war)に変わり、資源がない日本は総国力戦に対応できない焦りから満洲地域を狙った

・・・そういう様々な事情が交錯して結実したのが満洲国という存在だった

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個人的な話になるが、いままで満洲という名前は何度も聞いているのに、実態をほぼ知らないまま過ごしてきたのは個人的な怠惰だけでなく、そこに日本全体として目を背けたいものが詰まっているからだと分かる

満洲国の盛衰を知ると日本の苦手な、弱い部分が見えてしまう

同時に「自分の中にあるダメな部分」も見えてしまう

満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書)
 

 

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日本は、一度作ってしまった仕組みを自分たちで変えることが苦手だ

自分も含めてほとんどの人は会社などで働いてるときに「個人としてオカシイと思う場面」に出会っても、「会社員としての立場」でコトナカレで対処してしまう

言い訳はいくらでも考えつく

「だって食べていかないといけないし」「自分がやらなくても他の人がやるわけだし」

・・・満洲国で失敗した当時と、現在を生きる私たちは何か違うんだろうか?

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このマインドはすでに日本だけでなく、世界で問題となっている

例えば、核戦争が起こって欲しい人はほぼいない

相手が核兵器を持つことを許す人もほぼいない

でも、核兵器は現状なくなっていない

・・・これは、どこかの悪い国や一部の人が問題なんだろうか?

おそらく満洲国の問題と同じ構造がここには隠れている

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マルクス・ガブリエルさんと中島隆博さんの対談が次のステップだと思う

仕組みとして引き返せないシステムで動いてる世界をどう捉えるか?と

 

本 脳はすこぶる快楽主義

「脳はすこぶる快楽主義」池谷裕二さん著

 

SNSで本人写真の欄に、他の人と撮った写真を掲げる人の心理はどういうものなんだろう?と
また人生で唯一逆ナンされたのはイケメンの友だちといるときで、トリクルダウン理論?かと(笑)


で、この本「脳はすこぶる快楽主義」池谷裕二さん著にその答えが 

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それは「チアリーダー効果」といって、人は個人でいる時よりも、集団でいる時のほうが(写真でも)魅力的に映るということなのです

逆にいうと集団でいる時に魅力的でも、一人でいる時は「アレ?なんか違う・・・」ともなり得るわけで

この本は最新科学の知見を紹介するエッセイ集だそうですが、著者は毎日100〜200本の論文をざっと読んで、一週間で1000本ぐらい読む論文の中から珠玉の1つを毎週選んで書いるそうです(もちろん本業は論文を読むことではなくて研究することですが)

 

60ぐらいのエッセイが載ってるので、一年ちょいで6万本くらいの論文読んだのか・・・とここでもチアリーダー効果

マンガ 町田くんの世界

町田くんの世界安藤ゆきさん著

 

高2のメガネ男子、町田くんは困った人がいるとその人に必要な分だけの手助けをする

その手伝いの分量が多くも少なくもなく絶妙

本人はまだ自意識がないので、自分がどう見られるかを考えないで、呼吸をするように手助けをして、周りの人を町田ファンにしていく

いわゆるモテキャラでもないのに、毎年チョコを12~13個貰えるのを普通と思ってる所は、決して、決っして羨ましくない(笑)

 その町田くんが、クラスメートの猪原さんを助けてから、初めて彼女に嫌われたくないという自意識に目覚める

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こんな世界が、かつて日本にもあったんじゃないかと思うんだけど、もしかしたら見果てぬ夢としてみんながずっと心に秘めてる世界なのかも