ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 満洲暴走

満洲暴走」安冨歩さん著

 

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満洲国が不思議な存在であることがよくわかる

中国の他の地域と違って中央集権的な経済であり、また清朝の発祥の地として開墾されずにきたため地力が豊かだった

そして当時の世界の戦争の仕方が "戦地のみの戦い" から ”総国力戦” (total war)に変わり、資源がない日本は総国力戦に対応できない焦りから満洲地域を狙った

・・・そういう様々な事情が交錯して結実したのが満洲国という存在だった

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個人的な話になるが、いままで満洲という名前は何度も聞いているのに、実態をほぼ知らないまま過ごしてきたのは個人的な怠惰だけでなく、そこに日本全体として目を背けたいものが詰まっているからだと分かる

満洲国の盛衰を知ると日本の苦手な、弱い部分が見えてしまう

同時に「自分の中にあるダメな部分」も見えてしまう

満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書)
 

 

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日本は、一度作ってしまった仕組みを自分たちで変えることが苦手だ

自分も含めてほとんどの人は会社などで働いてるときに「個人としてオカシイと思う場面」に出会っても、「会社員としての立場」でコトナカレで対処してしまう

言い訳はいくらでも考えつく

「だって食べていかないといけないし」「自分がやらなくても他の人がやるわけだし」

・・・満洲国で失敗した当時と、現在を生きる私たちは何か違うんだろうか?

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このマインドはすでに日本だけでなく、世界で問題となっている

例えば、核戦争が起こって欲しい人はほぼいない

相手が核兵器を持つことを許す人もほぼいない

でも、核兵器は現状なくなっていない

・・・これは、どこかの悪い国や一部の人が問題なんだろうか?

おそらく満洲国の問題と同じ構造がここには隠れている

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マルクス・ガブリエルさんと中島隆博さんの対談が次のステップだと思う

仕組みとして引き返せないシステムで動いてる世界をどう捉えるか?と