ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 嘘 Love Lies

 「嘘 Love Lies」村山由佳さん著

中学生のときの人間関係と事件、それをひきづって生きて来た4人の今の話。

勝手な話だけど村山さんの小説ではいつも、「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの続きを探してしまう。著者の真骨頂は、若い人の恋愛の痛みと喜びを描くとこにあると今でも思っているから。

最近は、大人になったあとの恋愛もテーマになってきている。今回の設定は、ラノベでよくありそうな4人の男女+裏社会というのを敢えて持って来て、話はパターンでも描写で書ききるという目標を掲げたんじゃないだろうか。

嘘 Love Lies

嘘 Love Lies

 

中学生のころの関係性の描写はやっぱり読んでて面白かった。潔癖感とか、その年代特有の成長度合いの個々人の差が生んでしまう悲しさとか。

大人になったあとの恋愛描写はよく分からない。そこにそれぞれの幸せがあるのも分かるし、あの中学生ならこの大人になるよな?ってのも分かる。予想外の人生の展開があるのも当然。なんだけど、なにかもっと違った関係性のあり方を見たかった気がする。

その辺りに納得ができなかったのは、一番の原因は読者としての自分が成長できてないからかもしれない。その可能性以外では、もしかしたら、大人の恋愛というのが自然になかなか存在し得ないからなんだろうか。逆に、自然には存在し得ないとみんな思ってるから、不自然さを勝手に身にまとってしまうんだろうか。

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この小説でというわけではないけれど、もっと大人の恋愛の自然なあり方を見てみたい。たぶんそれは ” 関係性の発見 ” に近い感じの。