ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 街場の天皇論

「街場の天皇論」内田樹さん著

この本で初めて腑に落ちたことがある。

なぜリベラル・左翼・知識人が力を持たないのか。それは政治的なエネルギーの源泉が「死者たちの国」にあることを知らないから。言い換えると、なにかをするときに「これでは死者たちに顔向けできない」という判断基準で動いていないから。

そして安倍首相は「死者(叔父)に付託された仕事している」自覚がある現在唯一の政治家であると。だからその政策は賛意を得なくても、政治的「力」への評価がされると。

街場の天皇論

街場の天皇論

 

さらには、

現代日本の政治の本質的なバトルは「ある種の死者の付託を背負う首相」と「すべての死者の付託を背負う陛下」の間の「霊的レベル」で展開している。(本文より)

個人的には内田さんの変遷と同じように、昔は宗教的なものは一切不要だと考えていた。しかし大人になるにつれて、合理性だけで人間生きてないよなと実感で思うようになり。そう思うようになったときに、日本人が宗教的な何かの持っていき場ってなんだろう?と思ったら、それが天皇なんだと。

宗教心ではないけれど、合理性以外の「なにかの軸」として天皇陛下が存在してくれていることのありがたさ。その軸がしっかりしているから、それ以外の軸(政治とか)が乱れようと日本人としてなにか平静でいられる。

そんなことを今まで考えもしなかったけど、それが仮想の軸だとしても、それが存在すると信じて生きるほうが個人的に元気が出る気がする。この感覚がおそらく「死者たちの国」に通じてるのだろう。