プロゲーマーの梅原さん著「勝ち続ける意志力」
梅原さんがゲームを始めてチャンピオンになって、ずっと勝ち続けて神と呼ばれるようになるなかで得た、”勝つことと、勝ち続けることの違い”が面白かった。
普通の人からしたら、勝つことだけでもすごいことなのに、勝つことだけを目指したら、勝ち続けることはできないし自分のためにもならないと。
例えばゲームで普通に強いことを10としたら、定石を学べば10までは簡単に行けるんだと。でも、その10を越えるためには定石を捨てて、自分で1から積み直さないといけない。すごく遠回りだし時間もかかるし、失敗するかもしれない。ただ、そうやって自分でやらないと10を超えた11や12、13には行けないのだと。
そしてゲームでは、対戦相手の性格、パターンを読むことも大事なことなんだけど、最終的にはそれさえも必要なくて、平常心の自分であることと、思う通りの形を出し切ることだけが大切になってくるんだそうな。
なんか武術の奥義みたいだ。梅原さんがテーマにするのが格闘ゲームだからかもしれないけど、古武術の甲野善紀さんも秘伝書の話で同じことを話していた。相手の刀が自分に降りかかってきても、それを全く気にせずに相手に打ち込むことが出来ること。梅原さんは現代の武士なんだろうな。
結局なにか新しいことをやるとき、ちょっとやる分には定石を学ぶのが楽しめる一番で、本気でその分野を極めようと思ったら、一つ一つ自分で考えて向かっていかなければならない、というとてもオーソドックスでブレない本だった。