「けもの道の歩き方」千松信也さん著
知らないことでいっぱいなんだが、11月中旬は「クヌギ、コナラ」のドングリが落ちて、そのあと「カシ」のドングリが落ちてくるそうだ
ドングリの好きなイノシシは、各ドングリの旬(メインで落ちる木)を求めて通る道を変え、それに合わせて猟師は罠を張る場所を変えていくのだと
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いくつか狩猟の本を読んできたが、こんなに自然への細やかな目線で書いてある本はなかった気がする
猟師だけど(だから?)、動物や植物に対する愛情の深さが違う
他にも、ナラ枯れやシカの樹木皮剥は一般的に悪いこととされているが、木々の世代交代を適度に引き起こして、森全体の働きに貢献していると別の視点を提示してくれる
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著者は銃を使わず「罠」と「網」で猟をしている
罠にかかったシカやイノシシを、鉄の棒で気絶させてナイフでとどめを刺している
猟師でも「銃ならできるけど、鉄の棒とナイフで動物を殺すのは嫌」という人がいるという
・・・狩猟経験がなくてもその気持ちはわかる、銃は命に対して「距離」を作る
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おそらく著者は動物に対して「フェア」でいたいんだと思う
罠は自分の力で作れるし、鉄の棒とナイフは自分の肉体の力で動かしている
そして、最後のとどめを動物に触れながら行う
自分の全力を使って動物の命を奪うことに、きちんと直面する
それが著者の、動物たちへの礼儀なんじゃないか
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あんまり覚えてないけど、前作(?)「ぼくは猟師になった」から著者がだいぶ変わったような気がする
狩猟を通して自然と深く関わることで、逆に「森全体の働きのなかに、著者の狩猟が含まれていること」を目指しているんじゃないかな
いつか狩猟免許が取れたら、一緒に山を歩いてみたい