「生存教室」内田樹さん、光岡秀稔さん対談。「荒天の武学」に続く第二弾。漫画「暗殺教室」を読んでということからこの題名になっている。
弱者が日常生活のなかで生き残る術を高めたい内田さんと、殺るか殺られるかの関係のなかでしか手に入らない強者の世界を極めたい光岡さん。二人がそれぞれの立場から武術と学ぶことと生きることを語っていく。
タイトルに対する大きな返事として、古の身体(観)を取り戻すということが軸にあった。評価軸を他人にゆだねず、自分で自分に納得して自信を持って生きていくために、どうやってでも生きていけると自然に思える体を作ろうと。そのための手法として伝統的な武術の練習法や教え方のなかにたくさんヒントがあると。
個人的には、地べた座り生活と、しゃがむこと、中腰での仕事というのが気になった。昔の日本の絵には、足をまっすぐに伸ばして立っている姿がほとんどないと、言われてみればその通りで、それが合理的だったんだなと。
また、特に光岡さんの話す”身体”が今の自分には遠すぎて、二度読んでやっとその言葉がひとつづつ意識に上がったくらい。それだけ未知の面白そうな世界が広がっているとも。
この本に出てくる身体とまではいかなくても、体をリアルに感じている人と親しくなっている気がする。