ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 内田樹の生存戦略

内田樹さんが雑誌GQで連載してるQ&Aの書籍化。雑誌の連載だけあって、一気によまずにちょっとずつ日を開けてよむといい感じ。内田さんがよく話題にする、大学でレポートの提出期限を過ぎた生徒の話が気になった。

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消費者の行動を内面化した多くの生徒は教育を受けるときも、最低限の努力(=お金)で単位(=商品)の取得を目指す。ある生徒は休んでレポートの期限を聞き忘れ、結果不合格にされたことに対し、そもそも先生や大学側が休んだ生徒に期限を伝え直すべきだと主張し、何度も教務課に来て抗議したり、親を連れてきて抗議し、最後には弁護士を立てて訴えるとまで言ってきたと。

勉強に対しては最低限の努力しかしないが、自分が賢い消費者であることを証明するためにはどんな努力も惜しまないという。 

悩める人、いらっしゃい 内田樹の生存戦略

悩める人、いらっしゃい 内田樹の生存戦略

 

この生徒を笑うのは簡単だけど、きっと自分も同じことを別のなにかでしている。

よくある、ポイントカードが財布にたくさん入っているのも、賢い消費者であることは証明できる(かもしれない)が、分厚い財布の不便さや、財布の傷みや、お店を無意識に限定してしまう、生活の不便さを我慢してるって同じ構図じゃない?

他にもAmazonなどの買い物で、少しでも安い同じ商品を探すために有限な人生の時間を費やしてたり。買ったものが失敗だと途中で気付いても、最後まで見たり、食べたり、ずっと捨てられなかったり。食べログに載ってない店は目の前にあっても入らなかったり。効果が明示されてないものは(構造的に明示できないものであっても)選択肢に最初から入らないとか。

キーワードは「賢い消費者であることを無意識に最優先にしてしまうこと」その裏で何を犠牲にしてるんだか。

…てな感じに自分でブツブツ考えるためのテーマに良い本。