「養老孟司の人生論」
養老さんのように東大の医学部の教授になり、好きな虫取りをして、鎌倉に住み、本も売れて…という人が一言で言うなら「自分の人生は所を得なかった」という感想を持っている。
意外な気もするけれどその部分が、自分を初めとして多くの人が共感を持つ根本の理由なのかもしれない。
常に、自分が今生きてる場にそぐわないように感じている。それでもその場で真面目に働き、大きな疑問を抱え、その場を楽しみ、日々暮らしている。
そぐわないと感じるからこそ、その場の花形ではない、時代が変わっても変わらない一見地味なものを追い求めるんじゃないだろうか。その足腰の確かさが内田樹さんを初めとした野蛮人の会の人たちを集めたんだろうと思った。
今回の本はいつもとちょっと違って、養老さんがいまの思い、考えに至るまでの自分史の紐解きをより詳しく述べている。いつものように、結論だけさらっと言われて煙に巻かれることも少ない。
ひとつでも多く受け継ぎたい。