WBS(ワールド・ビジネス・サテライト)で、「タイムウォレット」 という新しいサービスを立ち上げた話をやっていた。お店やタクシーでの待ち時間をポイント化し、他のときにサービスとして受けられるようにするという画期的なサービスらしい。
このサービスを聞いたときに、ミヒャエル・エンデの「モモ」を思い出した。時間を盗む灰色の男たちとの戦い。
モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)
- 作者: ミヒャエル・エンデ,Michael Ende,大島かおり
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/09/24
- メディア: 単行本
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物語の中で灰色の男たちは「無駄な時間を貯めましょう」と人々に呼びかける。その貯蓄された時間は灰色の男たちの葉巻になって消えていく。
もちろん先述のタイム・ウォレットはそういうものではない。ないけど、たぶん根っこは同じだろうと思う。「今ここにある時間を別の時間のために使う」。その発想自体は現代では普通だけど、それが数値化されることでさらに血肉化され、「捨て値でもいいから今の時間を目に見える価値に変換しないと気がすまない」というマインドになっていくだろうと。
例を挙げるなら、「ポイントが溜まるけどツマラナイことと、ポイントが溜まらないけど面白いこと」があったときに全く躊躇わずに後者を選ぶだろうか?別に、ポイントが溜まるほうを選んでも何も問題もないんだけど、そういう人が多くなったら世の中つまらんなーと。
モモの「無駄な時間も愛されている(意訳)」というのは、現実では誰が言ってくれるんだろう。このサービスの普及具合と僕の生き難さは比例関係にある。