「僕の妻は発達障害」ナナトエリさん、亀山聡さん著
読み始めたのは当時付き合ってた人が、漫画に出てくる「知花さん」に似ていたから
初対面の印象は「できる社会人!」だったのが、付き合い始めてみたら、子どものように何にでも興味を示したり、なんでも過剰だったりして、漫画を読みながらひとりで「そうそう!」と何度もうなづき
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ただ、いま読み返すと胸が痛くなるところがたくさんある
人混みで腕を組んで安心していたのは、それが嬉しいというだけじゃなくて、混雑した中を歩くのがそもそも苦手だったのかもしれない
約束の時間にいつも遅れるのは、出かける前に「どうしても気が散って他ごとが気になってしまうから」だと理解してたけど、やっぱり関係が悪くなる火ダネの一つだった
また「空気」が分からないがゆえの武装が笑顔だったり、キツイ顔だったりして、その武装を解凍するのに1時間くらい話すこともよくあった
漫画の中の知花さんは、旦那のさとるくんと「関係を続けていくために」と宣言して、お医者さんの力を借りている
それは知花さんを治すためではなくて、そのままの状態で生きていくための「サポート」
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「専門家のサポートをもらおうよ」と付き合ってた人に僕は何度か提案した
僕一人では支えきれない場面が何度も出てきていたからだ
しかしサポートを受けにいくことはなかった
結局、ぐるぐるに絡まった毛糸のような関係になり、もうそれを一つひとつ解きほぐすエネルギーも機会もなく、現実の僕の「チカさん」は離れていった
その後チカさんは新たな人と出会えたようだけど、もしかしたら「サポート」はその人となら要らないかもしれない
なんであれ漫画のなかの「知花さん」のように幸せになってほしい