「世界は贈与でできている」近内悠太さん著
個人的な話だが、家から駅に向かう途中に100mほどのお気に入りの小道がある
生垣や木に覆われトトロの小道と名付けていたのだが、たまに空き缶とかが落ちていて自分が汚されるようで不快だった
ある時、目についたゴミを拾って帰った
次の時もゴミも拾って帰った
ゴミを拾わない日があった
次の日も同じゴミが落ちていた
・・・ゴミって勝手に消えたりしないんだ!誰かが何も言わずに拾ってくれてたんだ!
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贈与に気付くためには想像力が必要だと作者はいう
なぜなら贈与は不合理なものとして最初現れる(なぜかゴミのない小道のように)
しかし、その不合理さに気付くためには、世界がどうなっていれば普通なのかを判断する”妥当な基準”がいる(2020年の世界では、人が通る小道にはゴミが捨てられていくのが普通)
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贈与はそれを受け取ったと自分で思った人にしか見えない
そして自分が贈与を受けたと思った人だけが、次の人に贈与をパスするようになる
・・・と作者はいう
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そして個人的な体験でいうなら、ひとつ贈与に気付くことができたら、他にも贈与があるんだろうと思って生きるようになる
さらには、自分の今ある生活というのは、多くの贈与の上に成り立っているんではないか?と
中には、自分で稼いだ金で生きているんだから、贈与なんて受けてない!って思ってても、たとえば日本の治安の良さは、日本の文化という贈与に支えられている
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そうやって贈与に気づいた人が、一人二人と増えるごとに、次の贈与を作ってくれる人が増えて、等価交換の世界もなんとかやっていけるんだろう
そのことに気づいてしまった作者は、社会を保っていく人を遠回りでも養おうとして、この本を書いたんだといまわかった
この本もまた贈与です