「自閉症の僕が跳びはねる理由」 東田直樹さん著
この本で初めて、自閉症の人の心の裡を知った
心と身体が無意識に連動している人からは想像つかない毎日
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・・・同じか分からないけど「心と体の分離」であろう経験をしたことがある
電車に乗っていて、気分が悪くなって半分意識を失いかけた時のこと
その時の様子を言葉にするなら、
「外面的にはつり革をもって立っているのに、自分の意識が、何かの塊みたいなものに凝縮されて、体内の空洞の中を落ちていくような感覚」
その瞬間は、どうやって筋肉を動かしていいのか、どこに"自分"と筋肉のリンクがあるのか全く分からずに、ひたすら体内らしきものの中を落下していくイメージだった
めちゃくちゃ怖かった
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おそらく電車に乗っている他の人から見たら、僕がぐしゃっと、糸の切れた操り人形のように、床に崩れ落ちたのを見たんだと思う
そういう、自分の意識と筋肉との連動がうまくいかない状況を、日常的に経験しているのが自閉症の人なんだと
著者はそういう状態のなかで、(おそらく例外的に)自分を操る方法を生み出し、コミュニケーションを取る方法を覚えて、この本を書いた
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読んでみて思うのは、自分と著者は何も変わるところがない
幸せに生きたくて、それぞれ違う問題を抱えている
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現実問題としては、自閉症の人は多くの助けを必要とする
それを分かった上で助け合って生きていくのを、どこまでを自分のこととするのか?を問われたと思った
人の線引きを一回自分に許すと、その線は勝手に動いて、いつのまにか自分をその外側にする
一番大変なのは実は、助けることではなくて、線引きができないことを覚悟してずっと引き受けるという覚悟自体かもしれない