ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 彼岸の図書館

「彼岸の図書館」青木真兵,青木海青子さん他対談

奈良県は東吉野に移住し、自宅を私設図書館「ルチャ・リブロ」として開放した夫婦とその周りの人たちとの対談

自宅を「マイ凱風館」として存在させたい、というアイデアが面白かった

これは、以前感想を書いた、内田樹さん他の「困難な子育て」で宿題となった、「それぞれの場所で ” 凱風館 ” を持つにはどうしたらいいか?」の1つの答えになると思う

要点をざっくりいうなら、

・書名にもある「彼岸』=聖なる場=貨幣経済と違った論理が働く

・ゆるやかな人の出入り

・一緒にご飯を食べる

を持つ拠点といった具合だろうか

マイ凱風館を持つというアイデアにピンと来る人におすすめ

彼岸の図書館: ぼくたちの「移住」のかたち

彼岸の図書館: ぼくたちの「移住」のかたち

 

 話の本筋ではないのだけど、そもそも著者たちが移住したバックボーンにある、2019年の日本での「経済の後退戦」における、内田さんの言葉が目にとまった

それは、

(後退戦において)たいせつなのは、誰一人脱落しないようにすること

という言葉

・・・実際の現場で脱落者が出るのはともかく、少なくとも「理念として、誰一人脱落しないことの大事さ」を、ちゃんと分かってないことに気づいた

* * *

たとえば

「一人くらいは脱落してもしょうがないよね」

「0.5%くらいの人は脱落してもしょうがないよね」

「分相応にね」

というのに一度でも自分が同意してしまうと、状況がさらに厳しくなった時に当然、

「二人くらいはしょうがないよね、3%くらいの人はしょうがないよね、年収2000万以下の人はしょうがないよね・・・」

と、どんどん切り捨てる割合が大きくなっていくことを、止める理由がなくなる

そして『いつの間にか自分が、切り捨てられる側に入って』しまっても、過去に切り捨てる側に回ったんだから、大きな声では反対できなくなる

* * *

内田先生は、そういう「言葉の持つ力」や「そこから導かれる未来」を人の何倍も考えて話しているんだなぁと

* * *

ともあれ、ぜひ一度実際に、著者たちの

lucha-libro.net

に行ってみたい