ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 困難な子育て

「困難な子育て」堀埜浩二さん、内田樹さん他

 

 子育ては「両親を含む多くの人間によるチームプレイ」というのがよく分かる

逆に、子供から見るなら「両親は育ててくれる人たちの、ワン・オブ・ゼム(one of them)に過ぎないんだよ!」という悲しくもありがたい言葉が本には出てくる

良くも悪くも、そんなに子供の成長に責任も取れないもんだよって

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この本は、凱風館にて行われた子育てフォーラムの当日の記録と、著者による複数の子育て世代の家族へのインタビューからなる

本の出演者に共通するのは、少なくとも両親のどちらかが、凱風館で合気道内田樹さんから学んでおり、その凱風館を中心とした人間のネットワークに支えられて、子育てをしていること

両親の片方が風邪を引いただとか、お迎えにいけない!という時にネットワークの中に助けを求めることで、なんとかなったりする

逆に、ネットワークがあるからそもそも安心して子供を育てる決断が出来た、などという話が出てくる

困難な子育て  内田樹せんせ主宰の新たな地域コミュニティ 凱風館から学ぶ「子育てのかたち」

困難な子育て 内田樹せんせ主宰の新たな地域コミュニティ 凱風館から学ぶ「子育てのかたち」

 

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この本を読んでると、本当に集団の中で子育てをするべきだと切に思う

親側から見た子育ての負担軽減という側面だけじゃなく、子供自身の問題として

将来は、子育てを両親二人だけでするなんて、子どもの成長権の侵害だっていう発想ができてくるんじゃないかな

つまり、「いろんな大人や同世代、異世代の子供に囲まれて育つ権利」みたいになってきて、「子育てネットワーク自体を支援する」ようになるんじゃないだろうか

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で、読者として当然の感想として、凱風館というネットワークの核となる場と、内田先生という得難い人物が中心にいるからこそ、この共同子育ては可能になっているんじゃないかと思ってしまう

そんなことはないよ、どこでも出来るんだよと出演者の人も言っているけれど、具体的に何がどうすれば、自分の周りに同じような「ネットワーク子育て」が出来るようになるかのまとめや抽象化までは行われていない

ただ、現在の1つの理想モデルとして、こんな子育ての仕方があるよ、というのを提示したことが、この本の存在意義だと思う

なんにせよ、とても面白かった

p.s. 著者のインタビュアー能力もすごい