ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 中の人などいない

「中の人などいない」浅生鴨さん著

鴨さんを尊敬してしまった

目的地があると迷う人(@本人談)なのに、新しい道を自分で切り開いていく嗅覚と覚悟が補って余りある

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鴨さんは、勝手に会社(NHK)でツイッターの非公式アカウント@NHK_PRを始めて、NHKと視聴者を結ぶ新たな回路を作り出そうとする

個人的な感想込みの番宣や、NHKと全然関係ない話もする、ゆるいアカウント

公的な立場の人が「オフレコですけれどね・・・」と言って、目の前の人と話し始めるオンレコより面白い会話のイメージじゃないかな?

そうして、@NHK_PRのフォロアーはどんどん増えていった

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コロンブスの卵じゃないけれど、そういう(顧客と普通に話しつつファンが増えていく)企業広報のあり方は、実は一番やりたくて出来なかったことなんじゃないかと

ただ、それをする(できる)人がいなかった

なぜ鴨さんが出来たかと言えば、「最後には、会社での立場よりも人としてやるべきことがある、という覚悟」がフォロアーに伝わったていたからだと思う

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それがよく現れたのが、東日本大震災の時

すでにフォロアーがすごい人数になっていた@NHK_PR(公式)の鴨さんは、自分ができる一番のことをする

テレビが受信できない人のために、ツイッターNHKの避難情報などを流し、NHKに関係なくても避難に役に立つ情報を整理して、またツイッターで流したり

ついには、ある中学生がNHKの災害に関する放送を、テレビが見れない人のために動画で(違法に)配信したURLも、避難の役に立つからとツイートで流してしまう

それで会社をクビになることも覚悟の上で

中の人などいない: @NHK広報のツイートはなぜユルい? (新潮文庫)

中の人などいない: @NHK広報のツイートはなぜユルい? (新潮文庫)

 

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鴨さんが何をしたのか、(コルクを運営している)佐渡島庸平さんの「WE ARE LONELY, BUT NOT ALONE. 〜現代の孤独と持続可能な経済圏としてのコミュニティ〜」を読んだら、言語化できた

それは、これまでの「一方的な情報提供型のメディアの仕組み」ではなく「ファンと相互に話し合えるコミュニティ」をどこよりも先駆けて作り出したんだろうと

その時に実際に見ていたかったなぁ

鴨さん、次は何をするんですか?

 

p.s. もっと知りたい人のためにご紹介

corkbooks.com