「つぼみ」宮下奈都さん著
この短編集で「いけばな」の魅力を初めて知った。
いけばなの稽古というのは、それぞれの花の方向性や瞬間を感じる技術を磨くことと、その感覚を意思を介在させないで手に伝える訓練をすることなんだと思った。
もう小説の中身とは全然関係ない話だけれど、自分の思惑を介在させないというのは、芸術一般に共通する話なんだとやっとわかるようになってきた。というか、自分の意思を超えたところにあるものを広げていく行為全般を芸術と呼ぶんかな。
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小説に関しては数をこなして目が肥えたせいか、作者を超える話しか読めない体質になってきた(初めての作者の1冊目はとりあえず読んでみる)。
絵や音楽は、目の前のものが芸術なのかどうかの違いがまだよく分からない。作品に接した後の「感覚が○○になっていたら」というのがヒントではないかと、この本を読んで思った。