ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 異教の隣人

 「異教の隣人」釈撤宗さん他

日本で活動している数多の宗教の現場を取材したユニークな連載本。

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前文の釈撤宗先生による「宗教の場の存在意義」の話がまず面白い。

宗教の場は、たんにそこで宗教の儀式が行われるのではなく、ご飯を一緒に作って食べること、一緒の時間を過ごすこと、文化のアーカイブ装置、価値観のリセットの場というように、複数の機能を同時に果たしているという解説にすごく納得した。

だから(ストレスの多い)外国に暮らす人たちにとって、自分たちだけの定常的な宗教の場があることは、ものすごく大きな意味を持つことになると。

逆に言うと、日本でそういう宗教の場を作れなかった異教の人たちは、「生きる核」が作れず、人知れず消えて行ってしまうのかもしれない。

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異教の隣人

異教の隣人

 

個人的な話だけれども座禅に行くようになって、宗教の場がもつ文化アーカイブの恩恵を受け取ること、価値観や人間関係のリセットされる場の効能、利害関係のない人とご飯を食べる楽しさなど、行く前に想像しなかった贈り物を受け取っている。

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逆に思うのは、異教の人というのは自分と価値観が違う人全てのことであって「日本で暮らす日本人」にも同じことが言えるのかもしれない。

つまり、同僚でも家族でもない人と毎週集まって、「一緒にご飯を食べる機会を持たないこと」が、どれだけ自分にダメージを与えてるのかと。

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本書のメインである異教の人たちの取材は読んでのお楽しみ。