ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 デザインの小骨話

 「デザインの小骨話」山中俊治さん著

個人的にデザインという言葉がよく分からない。マネジメントという言葉と同じくらい分からない。

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デザインに関わる人は「美しさ」という言葉を素直に使うが、アートに関わる人は美しさの呪縛から抜けるのにここ100年戦っているという話が本書にあった。

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思うに、一人一人の職人の頭の中にあったトータルな知識や作り方や美的感覚だったものが、歴史の中で、多人数で作ったり、製作工程を分解したり、大量生産するようになったりして、構造や機能や美観みたいな概念が分離していったんだろう。

そしてものづくりの中で、新たに生まれた概念や手法をまとめてカバーするものをデザインと一括りにして呼んだんだろうが、どうしてその中でアートという単体が分離していったんだろう。

デザインの小骨話

デザインの小骨話

 

 気持ちいいことだけを追求していたものから、気持ち良くなくてもいいから心を揺り動かすことを求めるようになったアートと、(アートがそれまで担っていた)気持ち良さだけを担当することになったデザインとの選手交代。

美を追求すること自体が面白くなった人がいて、物作りの中からそれだけを取り出して遊んだんじゃないかな。だからアートには美以外の存在理由がなくなり。

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後に残されたデザインは、より目的的に振る舞うことが求められて、言語化・共有化されて、新たな人類全体の「アート(技術)」となったんだろう。