ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 人口減少社会の未来学

「人口減少社会の未来学」内田樹

 今後人口が減少していくであろう日本に対して、各人の思うところを綴ったアンソロジー。それぞれの人の見方、今後の振る舞い方が面白い。

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 藻谷浩介さんの統計による話に解けてない謎が一つある。それは人の次世代の再生産率を都道府県で比べると、なぜか西高東低になっていること。東北や関東が低くて、中部地方が中間で、九州地方に行くほど高くなっている。

(全国平均が68%で、前の世代が100人いたとすると次の世代が68人になること)

つまりは西の人たちほど、次世代を生む割合が高いってことだけど、その理由はどこに求めたらいいんだろう?一番共通する項目は温度くらい??

そして平川克美さんの出生率のグラフは、一つ踏み込んだ理解をさせてくれた。日本の合計特殊出生率は戦後ずっと下がりっぱなしで現在1.4とかぐらい。しかし、結婚をした人に限っていえば出生率は1980年から上がり続けている。つまりは、結婚する(できる)人が減ったことが、出生率の一番の問題だったということ。

ちなみにこれと一緒に知っておくべきが、欧米の出生率が上がった国の理由。日本との一番の違いは婚外子の扱いで、結婚と関係なく子どもに権利を与え、育てやすい環境を用意した国の出生率は上がってる。

おそらく結婚をしやすい国にするよりも、子どもに(親の状態に関わらず)権利をきちんと保証する国にするほうが近道だろうなと感じた。

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そして人口が減ることが本当に悪いことなのかを、何度でも自分の頭で0から考えないと、ぼんやりとした不安感にずっと苛まれる気がした。