ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 四月になれば彼女は

 「四月になれば彼女は」川村元気さん著

これも「ノルウェイの森」へのオマージュなんだろうか。「僕たちはみんな大人になれなかった」も含めて、”大人になれない男たち”シリーズは個人的にとっても”来る”。

どうしてその時、言葉を惜しまず気持ちを届けようとしなかったんだろう、どうしてカッコ悪くても追いかけなかったんだろうと。

今までの関係が最高だったから、一旦壊れてもそれと ” 同じ ” に戻さないといけない、全く同じに戻せないくらいならゼロになったほうがいい!って過去の自分は思っていた。

でもまぁ、ちゃんと ” 説明 ” したところで、追いかけたところで、一度壊れてしまったものはたいていダメになるんだろうけど。そう思いつつ、関係が ” 新しい別の形の何か ” になっても良かったんじゃないか?って今は思う。ゼロよりかは。

四月になれば彼女は

四月になれば彼女は

 

小説に出て来る、見えないものを写そうとするハルのような女の子と、話すようになった。全然プライベートを知らないし、あと2週間、3月になったらもう顔を会わすこともなくなる。この小説を読んでる最中はずっと、ハルはその子だった。ちょっと眠たそうでどこか遠くを見ていて、不器用で真面目で、目をしっかり見て話す。

目の前にいるのに、その子は過去の輝かしい時代のハルのように感じられた。自分が過去にタイムスリップして、ひとときだけ一緒の空間にいるかのように。

そう考えてみれば、自分の過去だってもう過去になってしまったものは、一つの小説だと思っていいのかもしれない。それを読まなければ、思い出さなければ、今の自分には関係ない。

逆に好きな小説を自分の過去にしてもいいのかもしれない。というか、そうなっちゃってる人がいても不思議ない。ってかいるんだろう。

僕には ” ハル ” がいた。そう思って生きていく