ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 会社はこれからどうなるのか

 「会社はこれからどうなるのか」岩井克人さん著

この本は本当に面白かった。資本主義の根本である「差異」の時代的変遷を追うことで、これからの自分の仕事って社会の中でどういう位置づけ、意味づけがあるのか?という遠回りだけど着実な足元を作ってもらった気がする。

その変遷を言葉にしてみるなら「あっちの町だとこれ売ってないから持って行けば高く売れるよ?的な商業資本主義から、生産設備もっとるけん、どんどん若い人来て働ていやーっていう産業資本主義になり、賃金あがったけん設備持ってても儲からんから、ブランドとか知的財産とか、デファクトスタンダードとか「情報」の差異で稼ぐんや!のポスト産業資本主義と。」という感じなのかな。

そして、国ごとの成長時代のズレが、そのまま高度成長期のズレになり、停滞期のズレになり。この話の延長でいうなら現在の日本の産業構造は、産業資本主義の後期に特化されており、そこからポスト産業資本主義に移行する時の混乱した(停滞)状態にあると。アメリカは日本の高度成長期にすでにポスト産業資本主義に移行するための停滞期を迎えていたと。

会社はこれからどうなるのか (平凡社ライブラリー い 32-1)

会社はこれからどうなるのか (平凡社ライブラリー い 32-1)

 

 そういう社会構造の変化を前提として、その中で会社がどうなっていくか?という話に繋がっていく。結論から言うと、アメリカ的な株主主義ではない、形として多くの日本の会社に近い会社の在り方になるんじゃないかと。その理屈はポスト産業資本主義が求める「差異」を作り出す仕組みが、どうしても属人的なものになるからだと。その途中の理路は本を読むべし。

会社がどうなるか?という疑問よりも、自分がどう現代に求められる「差異」を生み出す過程に関わるか?の視点をもらったのが一番の成果。