「LIFE SHIFT(ライフシフト)」リンダグラットン、アンドリュースコットさん著。来たる「100年寿命時代の人生のあり方」を真面目に考えた初めての本かな?
寿命が延びたこと、そしてA.I.を含めたテクノロジーの進歩は、これまでの「学ぶ→仕事→引退」パターンの人生を変えてしまう、という著者の仮定は説得力がある。
仕事期間(=寿命)が伸びること、技術の革新速度(=個人の知識・技能の陳腐化サイクル)がどんどん早まることから今後は、
「学ぶ→仕事→学ぶ→仕事→学ぶ→仕事→引退」
みたいな生き方が、必須のロール・モデルになってくるんじゃないかと。(これ、今すぐにでもやりたいのだけど、日本だと”そういう雰囲気”が全然ない気がする)
そしてそのためには、これからは何歳であろうと、
・常に学ぶことに開かれた柔らかい心
・新しいことを実験としてどんどんやっていく姿勢
・自分はできるし、意味があるという肯定感
が必要だと著者は言う。
これって、同僚を見てると3つとも持ってるか、3つとも持ってないかの真っ二つに分かれるマインドな気がする。未来は現在のなかにその芽がちゃんと含まれてるんだな。こわっ。
さらに誰もが気になるところの、どんな仕事が(A.I.が発展していくなかで)残りやすいかについては、「創造性・共感・問題解決・ドアを開けるような仕事」が残りそうだという。
同じ著者の「ワーク・シフト」にどう書いてあるのか知りたいけど、「業種・職種」で人間に残される仕事がなにかを考えたり心配するのは、時間が勿体無い気がする。
一つだけ著者と自分が大きく違うなと思ったのは、「人生をコントロールしたい意識」と「自分のアイデンティティーを保とうとする意識」の ”ある”・”なし”。ここは最後の審判の思想が根底にある、一神教ならではの発想なのかなと思うが、この意識があることによってモノゴトがより複雑になっている気がする。
その点、シバリの少ない自分としては、「上の3つの視点を持って仕事をする」「そういう仕事の仕方ができる職場を選ぶ」という、個人の意識の有り様と、仕事環境の選び方だけを大事にするだけで良くて、実は欧米(一神教)社会よりも楽なんじゃないかとも思ったり。
自分の言葉でいうなら、毎日の仕事のなかで、ちゃんと「考える」「感じる」「人と接する」「体を動かす」を実行できてたら、その時その時でご縁があったモノゴトに対処することで、どんな時代でも上手に回っていけそうな気がしてきた。というか、それしかできない。