ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 伝えることから始めよう

「伝えることから始めよう」髙田明さん著。

ジャパネットたかだの髙田さんがその半生と、得たものを綴った。髙田さんはいつも「今」に集中する。「今」を大事にするからこそ、それまでにないリアルタイムのテレビショッピングを思いついたのだと。そしてその生放送で自分がTV画面の中が話している最中にも、その話が視聴者にちゃんと伝わっているのかどうかが、即座にかかってきた注文の売上の数字として刻々と表われるのだという。

伝えることから始めよう

伝えることから始めよう

 

髙田さんの話は、なにかの修行のように思えてくる。過去も未来もなく、ただ目の前の相手にいかに満足してもらえるかを、ひたすら追求する。そのあり方が企業体質にもなっていて、目標がなく、他社と比較せず、自己更新を続けるという。

企業としてとっても珍しいけど個人的にはすごく魅力を感じる。ってか、このやり方ってすごく自然なことじゃないだろうか?世界がすごい速度で変わっているなかで、数年後の目標を立てることにどれほど意味があって、目標をたててしまったばかりに、縛られることのほうが多くなってきているんじゃないだろうか。

 

この方法論を聞いて思いつくのが脳科学者の池谷裕二さんの研究法。仮説を立てずに目の前の ” 脳 ” が「より分かるようになるかもしれないアイデアや新技術」をひたすら試しまくっていって、出た結果から脳の新しい知見を得ていく。

池谷さんのやり方は単年度予算が取りにくく、いつ論文になるかも分からず、現行の科学を支える制度には馴染みにくい問題があるのだという。しかしそれを超えるメリットがあるという。仮説がないので研究者のバイアスがなくなり、仮説を立証したいがためのデータの辻褄合わせもなくなり、出てきた結果の意味をすべて生かすことができる・・・だっけかな。

 

結論。髙田さんは「目の前にあるものから始める」という人生のスタンスが、たまたまテレビショッピングに発展したために、自分が一番知られている形として「伝えることから始める」というタイトルになったと。