映画「この世界の片隅に」
ジブリの「コクリコ坂」の雰囲気に「かぐや姫」のタッチをミックスした感じと言えば良いのか。でも印象は全然違って、主人公の「北条すず」の柔らかさと、世界から5秒くらい遅れたようなリズムが、物語全体のトーンになっている。その声を「のん」さんが演じて唯一無二のキャラクターになった。
舞台は第二次世界大戦前の広島とその隣の呉。広島から呉に嫁いだすずが、新しい家で夫や家族と生活をしていく。そのどこにでもあったであろう毎日のなかに少しずつ戦争が入ってきて、過ぎていく。
すずも家族も全然無傷ではいられなく。それでも生き残った人たちは生きて行く。途中つらい場面もあるが押し付けてはこない感覚がいい。
昔もいまも、世界の片隅で静かにすずのように生きている人たちがきっといるんだろうな。すずのように生きて、すずのような人と出会いたい。