ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 天使の棺

「天使の棺」村山由佳さん著。

時間を忘れて読んでしまう。恋愛小説としても面白いのだけど、それぞれの人の居場所の作り方の自由さを謳ってる所が今に合ってる。自分が傷ついていることにすら気づかないくらい傷ついた中学生(と小学生)が、初めて信頼できる大人に会うことで、少しずつ自分を許してあげられるようになる。と同時に、受け入れる側の大人も変化していく。

というかきっと、彼らに接する大人が同時に変化しなかったら、子どもは自分を解放できないんじゃないだろうか? 自分がいる影響が相手にとってない、ってことだから。

天使の柩 (集英社文庫)

天使の柩 (集英社文庫)

 

 この小説を読んでる途中、個人的にリアルワールドで心身ともに傷ついた友達をなぐさめていた。慰めるというのは正確ではなくて、傷ついた友達と対等であること、未来に果実を求めないことを戒めとして自分に課していた。

安易に大丈夫だよと言わない。相手の感覚を否定しない。急がない。無理しない。楽しむ。そして相手の意識じゃなくて無意識に向かって、肯定の気持ちを伝えていく。その友達の居やすいリアルの場を作る。

こんなに相手の立場にたって考えた経験はそうはない。でも今回自分が心掛けているあり方は本来なら誰に対してもすべきなのは良くわかった。そして本の中身じゃないけど、友達が治っていくことと、自分自身が変化していくことは裏表なんだろう。