「イヤシノウタ」吉本ばなな さん著。
ばななさんを小説家だと思っていたけど、ご本人としては文筆業は2番目の仕事で、
「一番の仕事は私の周りの愛する人をたちが困っているときに、私の観察の結果を知らせること。」(「イヤシノウタ」より)
なんだそうな。
一つ一つの経験がばななさんの中で「新しい意味」として生まれる変わる。それらが言葉になりエッセイになり、一つ読むたびに、世界と自分(読者)の結び目を一つ作ってくれる。
・・・性欲とか独占欲とかそういうのではなくて、こんなふうに人を好きでいられるのがいちばんいいんじゃないかな、と思った。ちょっと鷹揚に、ぽわんとして、てきとうで、なにも目指さない好きさで。(「いやしのうた」より)
文章の終わりがまたいい。これ以上は言葉がいらないギリギリで、いつもポーンとパスをされる。そのすごさを分析せずにそのまま受けとめて血肉にしたい。
イヤサレルとすれば、今までと違った形で世界との結びつきができることかも。