ココロミにきみ

本と体とプログラミング

ドラマ 掟上今日子の備忘録

最終回が良かった。

「(今日子)次に私に会ったときは、いちからくどいて下さいね」

このセリフの一言で、それまでの繰り返し「彼女の記憶は(一日しか)続かない」というキーフレーズがきちんとドラマの背景になった。

新垣結衣さん演じるドラマ「掟上今日子の備忘録」

www.ntv.co.jp

ドラマの最初の3回くらいで、「一日で記憶を忘れる探偵が事件を解決する」というパターンに飽きた。同時に見ていた父はそこで脱落。ガッキーの魅力に頼ってなんとか見続けているうちに、銀髪とメガネと対応の素っ気なさがツボになってきた。

ドラマが面白くなったのはラスト3回くらい。「記憶が続かない」という設定がドラマに馴染み出してきた。記憶が続かないということは、毎日朝起きてから身の周りにある全てのことを一から知らなくてはいけない(スマホって何?とか、この人誰?とか)。そのある種「やるせなさ」が伝わってきたことで、ドラマの中盤までの話も一気に記憶の中で切ないものとして膨らむ。

最終回で副主人公の岡田将生さんと心が通じ合い、「(寝てしまうことで)記憶をなくしたくない」という言葉が初めて掟上今日子の口から漏れる。そして冒頭のセリフ、

「(今日子)次に私に会ったときは、いちからくどいて下さいね」

になる。

次の日にはやっぱり綺麗さっぱり記憶をなくした掟上今日子がそこにいた。その切なさを放り出したままでドラマは終わった。いい加減な形でハッピーエンドにしなかったところが、このドラマを一線を画すものにしたと思う。

 

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