ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 私の身体は頭がいい

この本で初めて「身体による教養」という考え方を知った。「身体についての知識」ではなくて、「身体で知る・考える」が蓄積されるということ。それが高じて、生き方としても「意識や意志を実現させるために身体を使う」ではなく、「身体の自然や自由さを実現するために意識を使う」というように個人的には変わってきた。ほとんど自分が別人になったのかもしれない。

私の身体は頭がいい (文春文庫)

私の身体は頭がいい (文春文庫)

 

本によると例えば、武術の稽古は型稽古が基本。乱取りのほうが実践的で使える気がするけど、乱取りによる成長は現在できることがちょっと上手になるだけ。一方で型稽古はそれまでなかった身体の使い方を身につけることで、レベルや種類の全く違った成長を目指す。

ではなぜ「型稽古のような発想」が廃れていっているかといえば「評価軸が変わるような成長」を「意識」が嫌うからだと。(意識の最大の機能は「同じ」を作り出すこと)

たとえば現在の教育システムで評価できるのは、「現在の能力のちょっとした成長」しかない。評価軸が変わるような人間の大きな成長の評価には、その人を一対一で見てくれる師の存在が必要になる。

ただ、いまの社会では師には個人的に出会うしかなく、そういう幸運に恵まれた人だけが、身体の教養を育むという可能性に気付くことができるのだろう。

リアルワールドで師に出会えなくても、もしかしたらこの本で師に出会えるかもしれない。そういう意味でぜひ勧めたい本。