ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 わたし、解体はじめました

「わたし、解体はじめました」 畠山千春さん著

筆者は鶏を絞めて食べるワークショップを開催しているのだが、初めて自分で絞めて食べたときに「その鶏が自分の体の一部になった感覚」があったという

そして自分の一部になるのだから「幸せに生きてきた鶏を食べたい!」と思うようになり、また、自分の体が欲する(野生の)肉の量が少量でいいことがわかったと

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なんかすごくわかる話で、ゲージの中に詰め込まれて動けないブロイラーの鶏生(人生の鶏版)って、あんまり幸せな気がしないし、それを食べる自分も幸せな気がしない

比較して、平飼いの鶏だとか、野山を駆け巡って生きてきた鴨とかは、肉に詰まってるパワーが違う気がする

そうやって幸せに生きてきた鶏とかを食べると、肉のパワーがすごいからいつもより少なめで自分の体が満足するのだろう

・・・個人的には、今はスーパーの肉でも美味しいと感じるときはあるんだけど、ジビエの肉を食べたらもう戻れないような気もする

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本の後半は初めて獲物を獲るまでの話で、新人猟師のリアルさがわかった

なんとなくでは絶対獲れなくて、一定のレベルに達してやっと勝負が始まるという感じ

広い山の中でごく最近の足跡を発見して、そこにどれくらいの集団がいて、どんな頻度でどういう道で動いて、その中でも具体的に「この足跡のやつをここで獲る」という具体的な狙いができるようにならないと獲れないと

それはたぶん、ほとんどの人が動物がどれだけ賢くて、用心深くて、どんな行動をしているのかを命をかける深さで向き合ったことがないから

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猟師になりたい、猟師をやりたいと思ってる(自分のような)人間に立ちはだかる関門は、この最初の一頭の捕獲だろう

先住猟師がいない山を探して毎日通って、足跡を見つけてイノシシの個体識別ができて・・・って、どんだけ山に入って、空振りをしたらできるようになるんだろう

とても面白い本です

本 山と獣と肉と皮

「山と獣と肉と皮」繁延あづささん著

猟師ではない著者が、引越し先の長崎のご近所にいた派手なおじさん(あとで猟師と分かる)に挨拶したことから始まった混迷の旅

著者はシシ肉を毎週のようにもらようになり、猟に同行し、狩猟の瞬間や解体、腐敗、皮鞣しなどまで自分の足で追っていく

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いつしか肉というのは、スーパーで売っている無名の「肉」じゃなくて、激しい命を持って野山を走り回って、最後の最後まで生きていた臭いもすごい唯一無二の「個を持つ生命の一部」に変わっていく

著者の想いの変遷が話の縦軸としてあり、それはすごいエッセイなのだが、横軸としての2人の猟師さんの話が個人的には面白かった

最初に出てくる派手なおじさんは、害獣駆除メンバーでもあるので一年を通して猟ができて、二日に1匹くらい仕留めて、周りの人たちに肉を配っているという

山から恵みとして与えられたものを、たまたま自分が頂いたので、見返りを考えずに周りの人にその恩恵を贈っていく、という感じがすごく素敵だ

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もう1人の猟師は、犬に山を駆け巡らせてイノシシを発見し、銃で仕留めるスタイル

犬との無言の「狩猟仲間としての信頼関係」が構築されていて、種を超えてお互いにリスペクトしあってる様子がなんだか不思議だ

youtubeでも観れる(狩猟場面が大丈夫な人だけみてください)


www.youtube.com

 

個人的な話で、去年狩猟免許を取った人に出会った

「免許取っても、1人で山に入ったって(技術も経験もないし)全然取れないから」

と経験を語ってくれて、先輩グループを探して属して、狩猟LINEグループを作っている人だった

なるほどなーと思う

本に出てくる猟師の2人もその先達猟師から学んでるし、犬をパートナーにしたり、基本的には猟は仲間とやるもんなんだろうな

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そのこともあって、著者は僕から言わせると「狩猟運」を持っている

気のいい&腕のいい猟師さんが、近くに住んでて出会える偶然なんてすごすぎる

狩猟を目指して免許取った人の多くが、著者のような出会いに恵まれず、多くが一年目で狩猟を辞めてしまうから

著者がそういう運を持っていたからそ生まれた本であると思う

 

狩猟をするようになったら、何度か読み返してみたい

本 けもの道の歩き方

「けもの道の歩き方」千松信也さん著

知らないことでいっぱいなんだが、11月中旬は「クヌギ、コナラ」のドングリが落ちて、そのあと「カシ」のドングリが落ちてくるそうだ

ドングリの好きなイノシシは、各ドングリの旬(メインで落ちる木)を求めて通る道を変え、それに合わせて猟師は罠を張る場所を変えていくのだと

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いくつか狩猟の本を読んできたが、こんなに自然への細やかな目線で書いてある本はなかった気がする

猟師だけど(だから?)、動物や植物に対する愛情の深さが違う

他にも、ナラ枯れやシカの樹木皮剥は一般的に悪いこととされているが、木々の世代交代を適度に引き起こして、森全体の働きに貢献していると別の視点を提示してくれる

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著者は銃を使わず「罠」と「網」で猟をしている

罠にかかったシカやイノシシを、鉄の棒で気絶させてナイフでとどめを刺している

猟師でも「銃ならできるけど、鉄の棒とナイフで動物を殺すのは嫌」という人がいるという

・・・狩猟経験がなくてもその気持ちはわかる、銃は命に対して「距離」を作る

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おそらく著者は動物に対して「フェア」でいたいんだと思う

罠は自分の力で作れるし、鉄の棒とナイフは自分の肉体の力で動かしている

そして、最後のとどめを動物に触れながら行う

自分の全力を使って動物の命を奪うことに、きちんと直面する

それが著者の、動物たちへの礼儀なんじゃないか

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あんまり覚えてないけど、前作(?)「ぼくは猟師になった」から著者がだいぶ変わったような気がする

狩猟を通して自然と深く関わることで、逆に「森全体の働きのなかに、著者の狩猟が含まれていること」を目指しているんじゃないかな

いつか狩猟免許が取れたら、一緒に山を歩いてみたい

本 山奥ニートやってます

「山奥ニートやってます」石井あらたさん著

本によると、著者たちは、和歌山の超山奥で廃校となった小学校を無料のシェアハウスとして貸してもらって、現在15人で共同生活をしている

食費と光熱費で月18000円が各人の負担

その最低限のお金は、貯金を崩したり、山でのちょっとしたお手伝いやアルバイトで得ている

あとの時間(=ほとんどの時間)はそれぞれ自由に、山の中を散歩したり、みんなでゲームしたり、BBQしたりして暮らしている

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このお話は、陸の孤島レベルの隔絶された場所というのが大事なポイントで、そんだけ山奥なので、人間はいるだけで価値があるというのが発見だと思う

実際、彼らニート以外は5人のお年寄りが村に住んでいるだけで、何かとお手伝いしたり、散歩の途中で挨拶するだけでも喜んでもらえて、野菜とかもらったりしている

著者の石井さんは、山奥でも、「仲間さえいれば暮らしていける」と最初に思ったそうな

実際、著者とジョーという二人が最初の住人でそこからこの話は始まっている

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なんだろう、学生時代のゆるい合宿みたいな状態が続いている状態なのかもしれない

衣食住があって、仲間がいてAmazonがあって、自然がある(=遊びに金がかからない)

もちろん彼ら以外の人たちがいるから成り立つ生活ではあるけれど、これは

AIが人間のやりたくないことをやってくれて、人間は好きなことだけしたらいい未来

を別の形で先取りした生活に思えるんだが?

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本の最後のあたりにもう一つ著者が面白いことを言ってて、(もっと発展させて)村とか作ったりするのも考えたが、

人為的に作ったものは、すぐ壊れる。山奥にいると、嫌でもそう思い知らされる。自然に、流れのままにが一番強い

と、なんか自分が漠然とわかってたつもりだったことを、リアルな感覚で言われた気がする

山奥ニートは、分かりやすく周りのサポートという人為があって成り立ってるわけだが、都市での生活はそれこそ人為の塊があって成り立ってるわけで、たとえば大災害が起こったときに生き残りやすいのはどちらだろう

本 撤退論

「撤退論」内田樹

日本はこれから歴史的にみて、経済成長ではなく「撤退」局面にあるという認識のもとに集められた寄稿集

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そのうちの一つ、イスラム教学者、中田考さんの

1。日本は敗戦処理が終わっていない。旧大日本帝国のときに領地とした国々の人たちの、現在の困っている状況に手を貸すこと

2。そのことが引いては日本の現在の問題の解決につながる

というアイデアがなんか気になった

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他人の話ならその理非がよくわかるので、1について勝手に例を出すと、「アフリカ諸国の国境が直線で区切られていることによる弊害は、誰が解決すべき問題か?」というのがある

これは植民地時代のヨーロッパ諸国が勝手に引いた領土の線の名残りであり、同じ民族がその線で引き裂かれたりして、現在のアフリカの混乱・紛争の原因を作り出してるのは間違いない

そしたら第三者的には「アフリカの『現在の混乱の解決』に、その直線を引いたヨーロッパの国たちが『今』、手を貸すのが当然だろ?」となる

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・・・というわけで「アフリカ直線問題」を日本にも応用すると、「第二次世界大戦のときに、日本が蒔いた問題の種は、やはり今の日本人が解決するしかないだろう」というのは理にかなっている

さて、中田考さんのアイデアの後半の「2。そのことによって、現状の自分たちの問題を解決する」の妥当性は、勉強や仕事で成果をあげる人のやり方と考えれば納得がいく

・自分が失敗した所を見直すことで、自分の考え方のパターンや弱点を知り、新たな問題に当たったときに、少なくとも同じ失敗はしないぶんだけ、解決する可能性が上がると

・・・ま、言うまでもありませんが一応書いてみました

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しかし正直なところを言うと、たんに過去の日本の失敗、しかも自分たちが直接やったわけでもない失敗を、資料で調べたり勉強して理解して反省するのはすごく難しいし、めんどくさい作業だから基本やりたくない

でもそれを、「現在問題を抱えている人たちの課題を解決する手伝いをすることで学ぶ」となれば未来を向いたタスクだから、やりがいもあるし、やる気も出てくる

勉強するんじゃなくて、アウトプットをする、ということかな

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さあて撤退戦、がんばりましょう

 

p.s. ちなみにですが、日本人の集団としての行動パターンがよく描かれてる本に、安冨歩さんの、満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦 (角川新書) があります

狩猟を始めたいメモ

今回は完全に自分ようのメモです

狩猟に興味が出てきて、県の狩猟講習会に出ようという状態です

もし同じような立場の人でしたら、参考になるリンクを

 

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1。大日本猟友会

大日本猟友会

猟師になると、それぞれの免許(銃・罠・網)ごとに、毎年この大日本猟友会に年貢(会費)を納めなければならねぇだ

 

2。環境省の狩猟免許を取るまでの説明

https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort8/hunter/license.html

未読

 

3。鳥獣保護管理事業計画

野生鳥獣の保護管理 / 奈良県

県ごとに毎年作られる、どの動物をどれくらい獲りましょうっていう話だと思う(まだ見てないが、毎年見ないといけないはず)

 

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4。狩猟のpodcast

Apple Podcastの狩猟の時間

この主催者にはとっても申し訳ないのですが、話し方が苦手なので各エピソードごとに貼ってあるリンクを役立たせてもらってます

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5。本「はじめての狩猟」

はじめての狩猟―免許の取り方から痕跡探しまで

これから読むところ

 

6。本「農作物を守る鳥獣対策」

農作物を守る鳥獣害対策: 動物の行動から考える

著者の江口さんは動物行動学者で、目線は農家の話だけど動物の習性など参考になる

猟師は農家の人に頼まれることも出てくるので、関わり所を考えるという意味でも

 

7。漫画「山賊ダイアリー

山賊ダイアリー(1)

「獲った獲物は必ず食べる」をポリシーにした著者の実体験を漫画に

パラコードの工夫した使い方など参考になる・・・ヘビとキジとヌートリアを食べてみたくなった

 

8。漫画「クマ撃ちの女」

クマ撃ちの女 8巻

ひたすら熊だけをハンターとして追う女の話

熊の怖さ、猟友会のしがらみなどを知る・・・

 

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狩猟を始めることができたら、この日記のカテゴリーに「狩猟」を追加しよう

本 13歳からの地政学

「13歳からの地政学」田中孝幸さん著

ある国の「場所性」の視点を教えてもらったのは、目ウロコだった

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たとえば、「中国が南シナ海あたりで軍艦をチラつかせてるニュース」を知ってる人も多いと思うけど、それはなぜなんだろう?

今まで気にしたこともなかったけど、それには深い理由があった

南シナ海には『海溝』があって、そこを中国は自分のものにしたいから」

・・・これでこの話の全体像が掴めた人はすごい!

「なぜ海溝を自分のものにしたい?」は後半につづく

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この話を考えるには核兵器からスタートしなくてはいけない

核兵器を持っている国というのは、核の置き場というものを考える必要がある

例えば、アメリカやロシアは核兵器を具体的にどこに置いてあると思いますか?

・・・僕はてっきり、テキサスやアリゾナの人が住まないだだっ広い場所の地下にあると思ってました

違うんです

陸地では、人工衛星やらなんやらで発見されて戦争の時に最初に狙われてしまう

だから核兵器原子力潜水艦に積んであって、それは海溝の奥深いところを常に移動していて、場所が分からないようにしているのだと

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・・・原子力潜水艦って、単に原子力で動いているからついた名前だと思ってた自分の無知さよ(物理学科出身なのに!)

え、でも何万発も核兵器があったら、それを全部積む潜水艦の数ってハンパなくない?

操舵する兵士の数も必要だし、軍事費がうなぎのぼりになりそう

 <<閑話休題>>

話を戻すと、核兵器を維持するためには原子力潜水艦が必要で、さらにそれが隠れるための浅瀬ではなくて、数千メートル級の海溝が必要になると

さらに中国の話に戻すと、東シナ海のあたりは大陸棚(数百メートルくらい)で、原子力潜水艦が隠れることができない

だから、数千メートル級の海溝を持つ南シナ海が欲しい

そのために南シナ海に人工島を無理やり作ってそこを排他的水域にすることを、隣国と火種になるのも辞さずに強行してると

・・・なるほど話が繋がった

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この本は、同じように「場所が物事を決めてる話」がたくさんあって面白いです

やっぱりネットじゃなくて足を使ってその場にいくことは、いつまでたっても大事だな