「水の未来」フレッド・ピアスさん著
これからの世界は水不足になっていくのだろうか?
水の豊富な日本にいると想像しにくいのだが、
世界の多くの地域で、「緑の革命*」以後、・・・中略・・・川の水が無くなったり足りなくなったりしたので、地下に何千年、何万年かけて溜まった水を使って農業をしている
(*緑の革命は1960年代の、大量の水と肥料を使った収穫率の高い農業技術の革新のことで、そのおかげで飢餓が減ったりしたのだが別の問題も引き起こした)
つまりは
年間で地下水を汲み上げて使う量 >>> 年間で地下水が自然に溜まる量
の地域が出現しており、数十年以内に農業が出来なくなるということ
そして多くの地域がそのことを分かってても止められてないこと
また地下水の汚染問題があること(川の水のほうが汚染は比較的少ない)
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この水利の問題と、そこから派生した問題から3つの視点で考えることになった
一つ目は、身近な個人レベルの話として発展途上国へいく時
例えばインドやバングラデシュでは、川の水が使えなくなり、地下水を農業や生活の水として使い始めたのだが、その一部(といっても何百万・何千万人規模)では、ヒ素やフッ素が井戸水に基準の何百倍といったレベルで含まれていて、それを飲んだ人たちが手足が曲がったり、皮膚ガンや肝臓ガンになっているという
(本の取材時が2005年より前あたりの話だが、現状どうなのかは分からない)
もしこれから行くことがあるなら、そこに住んでいる人たちに申し訳なくても、以下のような水質チェックの道具を持って行きたい
日本のamazonではフッ素や鉛のチェックができるものが数千円である
なぜか日本のamazonでは、ヒ素に対する試験薬みたいなのが売ってない
理由があるのだろうか?
アメリカのamazon.comにはあるので一応リンクを貼っておく
Arsenicというのがヒ素のこと
2つ目は、国家間レベルの「仮想水」の行き来という話
それを説明する
例えば、牛乳を1L作るための牛に食べさせる草には水が2000L必要だそうな
だからもし牛乳1Lを輸入したら、仮想的に水2000Lを輸入したと考えてもよかろうと
これが仮想的に水が国を超えて行き来した量として考える「仮想水」というアイデア
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そうなると、現在の炭素の排出権取引と同じで、今後、仮想水権取引というのが行われるようになるかもしれない
日本は大量の穀物や野菜の輸入国だから、「仮想水」の大量輸入国として新たな関税なり何なりを払う必要が出てくるかもしれない
水が世界で足りなくなって穀物や野菜の国際的値段が上がるのと同時に、仮想水の税金がかかるようになったら・・・
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個人で何かできることがあるとすれば、「雨水」で育てる大きめの家庭菜園を作っておくこと
都市に住んでると難しいので、仮想水問題で田舎に住む必然性が出てくるかもしれない
過疎化やコンパクト・シティという、都市に集中して住まわせることで、インフラ・コストを下げようとするいまの流れと、どう折り合いをつけていくことになるか
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3つ目は、日本国内だが個人では如何ともしがたい”可能性”の話
日本の土地や山が海外資本に買われて、その川になる前の湧き水や、地下水脈から水を輸出され(てい)る可能性はどうなんだろうと
今でもなんらかの法律の規制もあるかもしれんのだけど、なんせ国民全体として「水に対する世界レベルの渇望」を知らない
もし日本から水が制限なく輸出されるようになったら、日本もこの本に書かれてる多くの地域と同じ争いに巻き込まれる
(例えば、イスラエルが川の水を国内用にせき止めたために、ヨルダンやパレスチナ地区には水が流れなくなった、の国内版とか)
他にも穀物や野菜の値段も高騰するし、水道水の値段もどうなるやら
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個人的には水の問題を今後も追っていくことと、雨水を上手にためて生活水にしたり家庭菜園をする方法を学ぼうと思う
方法自体は水が溜まってるところから自分の農地に引き込むだけ、などけっこう原始的だったりもするのだが、一番環境に負荷がかからず、仮想水問題も地下水問題も水質問題にもひっかからない
ご一緒に。