「ひとり情シス」成瀬雅光さん著
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ITをうまく使いこなせれば、まず要らなくなるのはIT要員だという事実!
上手にIT化ができると、業務で成果が上がるという事実(当たり前か!)
そして、ひとりでそれだけ価値を生み出せても、著者が評価がされないという事実!
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10人で担当していた情報システム部門が解体され、たったひとりで、サーバ200台以上を設置し管理し、業務システムを管理し、自分で社内の業務プログラムを作っていく道を選んだ、多能工プログラマーの奮戦記
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著者は、IT部門で一番大事にすべきものは「情報 」であると、繰り返し述べているが、その大事な「情報」が実際どう扱われているかといえば、
「誰それさんのエクセルに入っているよ、頼んでみたら?」とか、
「ルールでは、共有サーバにあるハズだけど、調べてみないとわからないなー」
という経験を多くの人がしてるんじゃないかと思う
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情報がエクセルであれ、使われていれば1倍の価値があるとすると、誰も使わない・使えない・使いにくくなっている情報は0の価値しかない
その情報がもし、全社共有データベースに保存されており、社員誰もが思いついた時にすぐ取り出せて、さらに他の情報と同時に参照できれば、それは5倍なり10倍なりの価値を持ち始める
(・・・とはいえ、データがあってもそれを扱う情報リテラシーが、さらにいるんだろうなーとも思うがそれはまた別の話)
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だから、「情報」がスムーズに動ける状態をつくるのが一番大事なんだと著者は言う
具体的にいうと、
(外部ITベンダーでなく)社内IT部門の人間による、
・OSの仮想化
・仮想化の下で、全社共通のデータベース
・仮想化の下で、社内プログラマーによるカスタマイズ
できる環境を戦略的に作ることだと
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反対に、その情報データベースに直接関係ないことは、外部ITベンダーに任せて省力化することも同時に必要だと(詳しくは本文に)
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で、著者のように、たったひとりで全社の情報環境を担当する人材は、その仕事の価値を正確に評価できる人が社内に居ないという(ひとり情シスですからね)!
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この本は、外からよく見えないIT部門の状況、その注力すべき方向、その手順を、一つの具体的な経験として示したところに大きな価値があると思う
IT部門の人間が読むと、苦労に共感できる部分と、IT部門として目指すべき方向性がわかるかもしれない
逆に経営層の人だったら、自社のIT部門がうまく機能していて、少数の情シス要員でそれが回っているなら評価をきちんとしないと、そんな人材は外に出れば、引く手数多だということ・・・