ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 心の扉を開く

「心の扉を開く」河合隼雄さん著

今週のお題「読書の秋」にぴったり。

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ユング心理学をベースに、自分の ” 心 ” を理解していくための本を紹介する本。

たとえば村上春樹さんや吉本ばななさんの小説が ” 何を書いてるのか ” が 、この本を読んでいくとわかる。

” 妻が突然いなくなった ” というのがストーリーとしてあったときに、そこで失われたものは、リアルな妻一人ではなく。

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妻ー妻の中の男性像アニムスー女性像アニマ

夫ー夫の中の男性像アニムスー女性像アニマ 

がまず存在し。

それぞれ同士の関係性、つまり図から考えると最大9つの関係性があるはずで、その中のいくつかが失われてしまったということなんだと。(河合さんは6つの関係と言っている)

さらにアニムス、アニマにはそれぞれ4段階の存在があり、そのどのレベルに反応しているかという視点も面白い。ロミオとジュリエットは第2段のロマンス的存在に互いに惹かれ、ペルソナとしての社会的側面に引き裂かれた。

心の扉を開く

心の扉を開く

 

この本を読んで、小説がなんのために存在するか、物語がなんのために存在するのかが初めて理解できた。人が無意識下で重層的に失われたものを伝えるために、その ” 不在 ” を表現するための時間なり空間が必要なんだと。

そして著者曰く、このことを知っている人は「何かが(ほかの人と少しだけ)違う」と他人から言われるのだという。もしそう言われる経験がある人は、知らないうちに心の中の世界のことを見つめながら生きているのかもしれない。

 

タイトルの「心の扉を開く」は伊達じゃない。