主人公は目的や評価基準、的確な指示が与えられれば有能に働けるコンビニ店員。コンビニできちんと「機能」するために、仕事以外の時間も働くために存在して、爪をマメにきり、体調を整え、睡眠時間を確保している。
しかし、主人公は目的や評価軸が曖昧なことには途端に機能がストップする。コンビニ店員としての機能する「以外」の、日常生活や日常会話では何をしていいか分からない。その時は周りにいる人たちの行動や会話を足して割った振る舞いをすることに決めている。
「論理性は抜群だけれども生存欲求や感情を持たないAI」が目的を与えられないまま、現代の人間社会に放り込まれたらこうなるのか!っていう寓話とも言える。
共同体や宗教がなくなっていく時代に、何に自分の「基準」を定めればいいのか分からない人は周りにもいる。コンビニ(=便利)という「機能の粋を集めた組織」の歯車に自ら志願することで、自分の枠組みや存在理由を見出すのはよくわかる。
幸せでも不幸でもないお話。