ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 古賀史健がまとめた糸井重里のこと。

「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」糸井重里さん、古賀史健さん、キューライスさん著

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ほぼ日が20周年の今年、読者として19年目を迎えた。そんなに毎日の生活に一緒に過ごしてきたものは他にない。自分のどれだけが「ほぼ日」で作られているかがもう分からない。

「ほぼ日」は当初から完成されたもののように感じてたのに、糸井さんの胸の裡を聞くともっと危なくて、いつ沈んでもおかしくなかったり、停滞の危機などたくさんあって今まで続いていることを知る。たまに「ほぼ日」の昔のアーカイブを読むと、糸井さんがもっと生々しく、コピーライター成分やとんがり成分が多めの時代に出会える。

古賀史健がまとめた糸井重里のこと。 (ほぼ日文庫)

古賀史健がまとめた糸井重里のこと。 (ほぼ日文庫)

 

「ほぼ日」は糸井さんが作ったコピー「おいしい生活」が時代を経て、一つの形になってきたものだと思う。私はこの「ほぼ日」に接するなかで、たとえば日々のご飯を食べるときに、好きな器や箸で食べることの喜びを学んだ。

名作ゲーム「MOTHER」は糸井さんの母、継母との関係のやり直しが大きな動機なんではないかと思う。ゲームに出てくる電話の向こうにいるお父さんは糸井さん自身の気持ちを代弁するものでもあったと本書で言っている。

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生きる師匠として糸井さんに私淑してきたが、ここ数年「あれ?糸井さんはそういう考えなんだ?(自分とは違うな)」と思うことが出てきている。それは「ほぼ日」という場を残すことを何より大事にしようとするような経営者としての想いなのか、年齢をと経験を重ねることで見えてくるものなのかは分からない。糸井さんが抱える課題がまだ自分には見えてないということなのかもしれない。

いつかまた自分が進む道がうまく行ってないと感じるときに、この本を読み直してみようと思う。糸井さんでもそう感じてたときがあったんだって。