ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 僕たちはみんな大人になれなかった

 「僕たちはみんな大人になれなかった」燃え殼さん著

(読んで思いついたことだけを書く)やるせなさの感じを思い出した。夜がながくて、むやみに友達とあてもなく過ごしたり、なりゆきで屋上でデートしたりしてた頃。人との距離感が今よりずっと近くて、ふとした拍子で関係が変わってしまったり。

近くにいて、なんだか親しいような気がしてたのに、みんなそれぞれの時間を生きていて、ある時突然(と僕は感じた)違う線路にそれぞれ乗っていて、たまさか近くなっていただけのことに気づく。

ボクたちはみんな大人になれなかった

ボクたちはみんな大人になれなかった

 

個人的な話だがそういう大事なものをなくしてしまったのに、なくしたことすらずっと気づかないでいた。 2年前に屋久島に行ったときにユースホステルに泊まったら、この小説のような”あの頃”の感じがそこにはあった。夜がながくて、初めての顔ぶれなのになんだか親しくて。

この感じが僕は欲しかったんだ!って気づいたのに、旅から帰ったら全然それをどこに求めていいのか分からないまま、いつしかその欲求すら忘れていた。その残り香がほしくて、僕は教育機関に勤めていたんだろうか。そしてそれが当たり前だけど得られないことに気づいて、落ち込んだんだろうか。個人的な話だが。

* * *

主人公は思い出の人に、記憶のなかでちゃんとさよならが言えた。大人にはなれなくても、ちゃんと前に向かって歩き始めた。

僕は桜木町駅の改札に消えた人に、まだ、さよならが言えていない。