ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 ゆらぐ脳

「ゆらぐ脳」池谷裕二さん著。

池谷さんは、モノゴトが「わかる」を、これまでの「” 分けて ” わかる」に加えて、「(分けずに)そのままわかる」という方法論を作り出そうとしている。脳の研究者としてもすごい実績を上げているのに、新種の「わかる」を作り出すって野望大き過ぎ!(笑)

これって、「自転車の乗り方」みたいな、体で「わかる」とかに近いことなんじゃないのかな。動的平行で有名な福岡伸一さんも「世界は分けてもわからない (講談社現代新書)」って言ってるし、「まるごと受け止める」ことは、新たな方向性として何か感じるものがある。

ゆらぐ脳

ゆらぐ脳

 

本の全体の内容は珍しく、研究生活にまつわるリアリティで、研究に進みたい人にとっては参考になるかもしれない。ただ、池谷さんのとっている研究方法はサイエンスの世界で、ものすごく異端だと思う。

仮説を立てずに、好奇心を一番大事にして、新たな何かが分かりそうなトライアルをひたすら続けていくというもの。どこに転がるかわからないし、ポイントもないし、方向性も、進捗状況も本人すらわからない。単年度で成果を毎年上げなければいけない制度の中では存在しずらい方法論。

 

でもこれって、すごく自然な感じがする。自分が ” いい状態 ” の時の心のありようって、たいてい仮説(予定)を忘れて、好奇心の赴くままに街歩きをしたりして、発見していく時だから。自分の枠組みから自由になってるから、新しいことにどんどん出会える。

池谷さんには個人的に人類栄誉賞をあげたい。