ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 モモ

時間どろぼうの話を久しぶりに読む。今回、英語版を読んでみたので、その歩みは(登場人物の)亀のカシオペアのように毎日数ページずつだった。それでも話は毎日着実に進み、今日最後のページまで到達した。ベポが道路掃除をするように、先を見ず目の前のことだけに集中した。たぶん灰色の男達には時間を盗まれていなかったのだろう。

読んでる途中に友達に会った。ずっと勤めていた会社を辞めて静養していた。毎日毎日残業で、自分の時間がなくなり体力がなくなり、気力がなくなり、最後には崩れるようにして会社を辞めたと言っていた。 なんであんなにがんばってしまったのか分からないという。

モモを読める余裕のある人は時間を盗まれていないから、自分が時間を盗まれていないか気づく余裕がある。モモを読めないくらい余裕のない人は時間をなくしているから、自分の状態に気づけないから抜け出せない。

モモ (岩波少年文庫(127))

モモ (岩波少年文庫(127))

 

時間どろうぼうの灰色の男達は、時代が変わっても、姿形を変えてそれぞれの人ごとに合わせて存在しているのだろう。例えば10分節約した時間で何をしているんだろう。そもそも本当に”時間の節約”なんてものが存在するんだろうか?

モモを読んでいる時間は、灰色の男たちに時間を盗まれていないことだけは確かだ。