ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 人間の生き方、ものの考えた方 学生たちへの特別講義

歴史から学ぶ、自然から学ぶ、言葉から学ぶ(本文より抜粋)

歴史を学ぶではなく「歴史から学ぶ」って、言われてみたら直感的に正しい気がするけど、何を学ぶんだろう?

実はテーマや分野というのは、個々にそれらを学ぶことが目的というよりは、それらを使って「人間の生き方を学ぶ」という思いが根本にあるんじゃないだろうか。その答えにつながりそうなことを、本文の言葉を借りると

政治思想は、フランス・イギリス、法律、医学はドイツ、絵画はフランス、音楽はドイツ、演劇はロシア・ドイツ、文学はフランス・ロシアというように、それぞれの手本とする先進国を定めて近代化のスタートが切られたのです。(本文より引用)

さらに軍隊でも陸軍と海軍で参照した国が違う。この状況って日本人にとっては違和感がないけど、多くの国の人からしたら、きっと「えっ?その状況って混乱しない?」って、思うんじゃないだろうか。

当初の日本人は和魂洋才で、和魂を高めるために、海外いろいろの国「から」学ぶって思ってたんだろうけど、いつの間にかその和魂がなくなって、それぞれの分野「を」学ぶ形になってきているのが現在なんじゃないだろうか。それが「数学って人生のなんの役に立つんですか?」みたいな質問になっていくんだろうと。「数学から学べ」と本当は言わなければいけないのに。

 そして、和魂がなくなって「分野を学ぶ」だけが出てる状況って、日本文化全体を貫く物語がなくなって、みんな自分の位置付けに困っている状況なんじゃないだろうか。

こんなこと今まで考えたことがなかったのに、福田恆存さんの考えに触れたことで初めて考えるようになった。まだまだ未消化の言葉がたくさんあるので、折に触れてこの本を読んでゆっくり消化していきたい。