ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 仙骨姿勢講座

多くの人に馴染みのない「仙骨」に「言葉」を与えてくれる珍しい本。

 姿勢・腰・ひざなどが痛い人から、運動能力を上げたい人まで、「仙骨」の角度を意識するだけで、動きの質が変わって楽になったりすることを教えてくれる。

仙骨姿勢講座―仙骨のコツは全てに通ず

仙骨姿勢講座―仙骨のコツは全てに通ず

 

 本のテーマはシンプルで、

①骨盤の角度を反らせる → 身体の動きの可動域は広がるが安定しない

②身体の内側に入れる → 身体の動きの可動域は狭まるが安定する

この2つの区別を実際の効果の視点と、それを身につけるための練習法の2方向から解説してくれる。

本のポーズの例に従って動かしただけで、それまで自分が培ってきた身体の経験(ヨガ2年だけど)が一気に整理されたのに感動〜。「こうすれば、ああなるんだ」みたく。

骨盤の角度による身体の変化の言語的理解を一気に深めてくれる、という本ではピカイチだと思う。ただ、身体内部の感覚をどこかで育ててから読まないと、本で強調されている仙骨の微妙な調整を日常化するのが難しいかもしれない。

個人的には猫背が改善されて、不自然じゃない姿勢のいい伸ばし方が身についたのが最大の収穫かもしれない。一年経ってもいい姿勢が身についてたら作者にちゃんとお礼をしよう。

作者に一つだけお願いしたいことがある。文中に、日本人の身体の(筋肉の)使い方が西洋人に劣るという趣旨のコラムがあるのだけど、なにか重要なものを見落としてるんじゃないかと。ある一つの文化が他の文化に比べて身体の使い方が一方的に劣るという発想が不自然に思えるので。

切り口や、切るレベルが違ったら、なぜ日本人が今のような身体の使い方をするのかの、もっと合理的な理由が見つかるのではないかと。作者には、ぜひ新たな視点から身体の動きについての取り組みをして頂いて、その知見をシェアしてほしいなと。

・・・欲深かな一読者より。