ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 投資家が「お金」よりも大切にしていること

ファンド・マネージャーの藤野さんが20年以上の経験を凝縮させて書いた、「投資」と生き方のツナガリを結ぶ本。

藤野さん曰く、投資というのは、単に株や投信や土地を買うことだけでなく、生きていく全ての行動が ” 投資 ” なんだと。消費も投資。例えば150円のペットボトルを買うと、その一本のペットボトルの背景には膨大の数の企業や人が関わっていて、その全体に対して ” お金という形 ” で投資をしていることになる。

別の投資の例で言うなら、自分が友だちを励ましたことで、その友だちが明るくなって仕事や勉強に打ち込むようになったら、その励ましも投資になる。この理屈を突き詰めていくと、「生きていること」「何かを選択すること」の全てが投資だと言っていい。

というか、「自分が生きていることが想像以上に色んなことに繋がっているのを、どれだけ意識できるようになるか?」と藤野さんは挑発しているのだろう。その「ツナガリ」を意識できたぶんだけ、自分の一挙手一投足が変わって(投資が変わって)、その総和として世の中が明るくなるんじゃないか?って。

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

 

 実にファンド・マネージャーらしからぬ説法だと思うけど、こういう人が考えた投資先の会社だったら自分も応援したいと思った。投資で自分のお金が増えるならラッキーだけど、それ以上に良い会社が増えて世の中が明るく良くなってほしい。

藤野さんは「世の中を良くしたい」という思いと、「その方法をみんなに提案する」という一見迂回的な「投資」をすることで、自身の会社の「ひふみ投信」の信頼を増やすという「投資」の良い例をこの本で示せたと思う。