ココロミにきみ

本と体とプログラミング

本 せいめいのはなし

「せいめいのはなし」福岡伸一さん対談集。

お相手は内田樹さん、養老孟司さん、川上弘美さん、朝吹真理子さん。

話してる人自身がほんとに面白いと感じてたのが伝わって来る。内田さんとの対談では、最後には次のような言葉にまで行き着いている。

内田樹)というか、人間の等身大のスケールで見えるものと「同じ構造」が見えることを人間は「理解」という言葉で言っているんじゃないですか。

このアイデアは福岡さんが「生物と無生物のあいだ」で、科学者が ” 発見するもの ” は、客観的でもなんでもなくて、科学者の ” 普段の有り様 ” の相似形になっている、ということに端を発している。ワトソンとクリックが二人で、二本の鎖による螺旋構造を発見したとか。

せいめいのはなし (新潮文庫)

せいめいのはなし (新潮文庫)

 

この内田さんのアイデアを援用して考えると、自分の生き方や環境をどれだけ大切にするかが、今後の自分が出会うモノゴトの質や形を決めてしまうってこと。

python事始め

pythonを学び始めた。

プログラムは初中級程度で何年も書いてないというレベル。新しいものを始めるときは複数の情報ソースを惜しみなく使うことを最近覚えた。切り口が違うと、著者ごとの前提としている知識の違いもわかり、話が立体的に見えてきて理解が早い。

ネットで無料で検索したら出てくるのに何冊も本買うの?って言われるけど、体系的にまとめられてるものによる時間短縮の価値を考えたらと。人生短いし。見やすいし。さらにUDEMYでいくつかpython講座をとってるけど、最終的には本のほうが映像よりも進みが早い。

 

とりあえず使っている4冊。 

 

Pythonプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本」

 初めてプログラミングという人にはこの本の途中までがいい。ブラックジャックのゲームを曲がりなりにも完成させるので充実感がある。プログラミング自体の面白さがわかりやすい。くどいぐらいに途中過程もプログラムの全文を何度も載せてくれるので、根気よくやれば絶対できるのがありがたい。

Pythonプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本

Pythonプログラミングのツボとコツがゼッタイにわかる本

 

 

「たのしいプログラミング Pythonではじめよう!」

この本はプログラミングの正統的な組み方や、pythonでできることを分かりやすくまとめている。pythonが何ができるのか、プログラミングに出てくる言葉や概念のイメージをつかむならこいつ。説明の流れが連続しているので、つまみ食いで読むよりも最初から通して読むことを想定されている。アメリカの教科書のイメージなのか、たとえ話や比喩を多用するので、「概念の理解」→「プログラムとしての表現」みたいな。ゲームを作る過程もあるが、必要な箇所の表示だけなので上の本よりは若干レベル高めで、要素をいろいろ使う練習になる。

たのしいプログラミング Pythonではじめよう!

たのしいプログラミング Pythonではじめよう!

 

 

「 みんなのPython」これはプログラミングができる人がpythonの言語の仕様を理解するのに向いている。前もって読むんじゃなくて、python使うときに横に置いておく本。まだそんなに使ってないから今後書き足す。著者のwebページが良かったのもある。

みんなのPython 第4版

みんなのPython 第4版

 

 

「 入門Python3」

いわずとしれたオライリーの正統派・無味乾燥な教科書。中身は白黒で無駄がいっさいない。著者の個性とかそーゆーのいらないって人向け。情報の整理はさすが。以前にPerlActionscriptオライリーにお世話になって以来、とりあえず揃える一冊。表紙の絵をなんとかしてほしい。

入門 Python 3

入門 Python 3

 

 

さー来月には機械学習に!

本 チームのことだけ、考えた

「チームのことだけ、考えた」グループウェアで有名なサイボウズ社長:青野さん著

 鎌倉投信の受益者総会で知った青野さん サイボウズが話題を呼んでいるのは、みんなサイボウズのあり方のように「チームで働きたい!」って心から思ってるからじゃないんだろうか 個人的にはすごく思ってるけど実感できたことが少ない

青野さん自身が社長業をやっていくなかで、十人十色のメンバーがそれぞれの個性を発揮して光り出すチームの力が面白くてしょうがなくて、それをどうやったら伸ばせるんだろう?と試行錯誤してきた記録がこの本

本曰く、

0 多様性時代前のある種暗黒時代→社長の挫折→真剣にやる覚悟ができる

1 共通の理想を作る→グループウェア世界一!

2 グループウェアの機能って?→それが必要なチームの定義って?

3 どうやったらチームって機能するの?→多様性!

4 多様性に力を発揮させるために?→ウソ無し、理想を伝える責任、説明責任

  →100人100通り人事制度、働き方の多様化

5 仕組みだけなく企業風土も作る→社長自ら育休を使う

 

遅かれ早かれどの会社も多様性を大事にする仕組みに変わっていくだろうなと思う 

「変わっていく」はたぶん正しくなくて、働いている人自身が「変えていく」という形になるんだろう その時に、サイボウズという先例があることがとても嬉しい 

本 グーグルに学ぶディープラーニング

ディープラーニングがビジネスにどう使えるか、のまさに入門書。

A.I.機械学習ディープラーニングの違いを説明してくれる所から始まる。全体としてとても丁寧な説明で分からないということがない。

googleのトップ技術者たちによる説明と、実際の企業で使われている例で、技術的な現状の限界と実際に使われている現状がよくわかる。 

グーグルに学ぶディープラーニング

グーグルに学ぶディープラーニング

 

ディープラーニングを使う技術的な方法論として、

1.分野ごとに 完成(学習)されたディープラーニングAPIを通じて使う

2.TensorFLowというディープラーニングの型を使って自前で学習データを用意する

3.ディープラーニングの型から、学習データまで全て自前で用意する

他にもディープラーニング以外の機械学習を使う手もある。

 

現状では、1.のAPIを使う方法論ですら、それに対応できる社員がいる企業のほうが珍しいだろうから、今使うなら専門の会社に頼むことになると思う。本にもあるけど、ディープラーニングの手法はコモディティー化するから(エクセルレベルになるんじゃないか?)、使う宛先のアイデアが勝負になってくるはず。

 

本筋ではないけど、ニューラルネットワークの層の数が、それぞれ違う特徴量に対応していることを初めて知った。だから例えば、画像の数字認識くらいだったら、色の識別とかがなく形の要素だけなので3層程度以上層を増やしても正答率が上がらないのだろう。

そういうミニマムな手法レベルの具体性から、ビジネスの具体性まで全体像がよくわかる本だと思う。

本 毎日っていいな

「毎日っていいな」吉本ばななさん著。

ばななさんだけ別なシアワセな世界に生きているんじゃないの?と思うくらい、生きてゆくことを喜んで、楽しそうで、それをちょうどいいサイズで伝えてくる。毎回大事なことだけ伝えて、色気を出したりして余計なことを言わない。だから気持ちいい。

そしてなんだろう、自分の周りに起こるモノゴトの関係性の見出し方が全然ちがう。基本的にはすべては繋がっているという発想だけど、それがこじつけじゃなくて、自然にそう伝わってくる。身に起こったことを言葉にする過程で、世の理(ことわり)をひとつずつ発見している感じ。

話の生感の強さと、話の緩急の気持ちよさから、ばななさんの視点で同じ人生を追体験している気分になってくる。下町の夕焼けだったり、旅行先の渇いた空気だったり。

毎日っていいな

毎日っていいな

 

そして数ページおきにある挿絵が目を惹いた。見たことありそうで、実は見たことない。切り絵のような雰囲気だけど、物悲しさがなく、明るい物語の一部になっていて、この本のテイストにものすごく合ってる。本自体が大切なものになる感じ。

ばななさんにとってはもちろん仕事としてのエッセイ集だけど、生き方としてこーゆーのありだよ、と本気で伝えようとしている本だと思う。

 

 

本 嫌われる勇気

 「嫌われる勇気」岸見一郎さん、古賀史健さん著。

嫌われる勇気は言い換えると、起業家マインドになること。

マーケティングをせず、マーケットを創造することだとも言える。 

 

他人の期待を満たすことをやめ、自分の価値観や思うところを突き詰めて仕事をする。そして成果を出し感謝されることで、”主観的な”社会への貢献感が生まれ、それにより自分の承認欲求も満たされる。

ただし、(特に周りの)他人の期待に応えることが目的でなくなるので、嫌われることもある。その”嫌われる”可能性を引き受ける勇気を持てるかどうか。 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 その自他の要求の分別に、アドラーは「課題の分離」という言葉をつかう。他人の問題は他人が解決するしかなくて、自分の問題は自分が解決するしかないと。馬を水飲み場に連れていくことまでは出来るが、水を飲むかどうかは馬が決めることなので、最後は結局関われないよねと。

ただ、社会を運営していくには個の感覚だけでなく共同体に生きている感覚も必要とも言っている。

* * * 

面白かった。同時に、アドラーの考え方はやるべきことが多く、条件が煩雑すぎるので実践は広まらないだろう。

一読した上で、「嫌われる勇気」と「課題の分離」という言葉を念仏のように唱えながら生きていると、少しは楽になる気がする。

 

この本を読むきっかけになったのは、堀江貴文さん著「ウシジマくんvs.ホリエモン 人生はカネじゃない!」で、アドラーの教えとけっこう似てんじゃん?と思ったことから。

 

本 LIFE SHIFT(ライフシフト)

「LIFE SHIFT(ライフシフト)」リンダグラットン、アンドリュースコットさん著。来たる「100年寿命時代の人生のあり方」を真面目に考えた初めての本かな?

 寿命が延びたこと、そしてA.I.を含めたテクノロジーの進歩は、これまでの「学ぶ→仕事→引退」パターンの人生を変えてしまう、という著者の仮定は説得力がある。

仕事期間(=寿命)が伸びること、技術の革新速度(=個人の知識・技能の陳腐化サイクル)がどんどん早まることから今後は、

学ぶ→仕事→学ぶ→仕事→学ぶ→仕事→引退」

みたいな生き方が、必須のロール・モデルになってくるんじゃないかと。(これ、今すぐにでもやりたいのだけど、日本だと”そういう雰囲気”が全然ない気がする)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

 

 そしてそのためには、これからは何歳であろうと、

 ・常に学ぶことに開かれた柔らかい心

 ・新しいことを実験としてどんどんやっていく姿勢

 ・自分はできるし、意味があるという肯定感

が必要だと著者は言う。

これって、同僚を見てると3つとも持ってるか、3つとも持ってないかの真っ二つに分かれるマインドな気がする。未来は現在のなかにその芽がちゃんと含まれてるんだな。こわっ。

 

さらに誰もが気になるところの、どんな仕事が(A.I.が発展していくなかで)残りやすいかについては、「創造性・共感・問題解決・ドアを開けるような仕事」が残りそうだという。

同じ著者の「ワーク・シフト」にどう書いてあるのか知りたいけど、「業種・職種」で人間に残される仕事がなにかを考えたり心配するのは、時間が勿体無い気がする。

 

一つだけ著者と自分が大きく違うなと思ったのは、「人生をコントロールしたい意識」と「自分のアイデンティティーを保とうとする意識」の ”ある”・”なし”。ここは最後の審判の思想が根底にある、一神教ならではの発想なのかなと思うが、この意識があることによってモノゴトがより複雑になっている気がする。

 

その点、シバリの少ない自分としては、「上の3つの視点を持って仕事をする」「そういう仕事の仕方ができる職場を選ぶ」という、個人の意識の有り様と、仕事環境の選び方だけを大事にするだけで良くて、実は欧米(一神教)社会よりも楽なんじゃないかとも思ったり。

自分の言葉でいうなら、毎日の仕事のなかで、ちゃんと「考える」「感じる」「人と接する」「体を動かす」を実行できてたら、その時その時でご縁があったモノゴトに対処することで、どんな時代でも上手に回っていけそうな気がしてきた。というか、それしかできない。